赤門史上6人目のプロ野球選手が誕生する。東大・宮台康平投手(4年)が26日、「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で日本ハムから7位指名を受けた。都内の同大本郷キャンパス内で会見に臨んだ。法学部からのプロ入りは東大史上初。3年春に大学日本代表にも選出された最速150キロ左腕が、日本最高学府から球界最高峰の門をたたく。

 会見場に微妙な空気が漂い始めた。ドラフト会議開始から2時間20分が経過。東大本郷キャンパス内の控室の宮台に吉報が届いた。「とても不安でした。名前が呼ばれるまで確証がない。無事、指名していただくことができて、本当にうれしく思います」。同期部員と喜びを分かち合い、東京大学のバックボードをバックに会見でうれしそうに言った。

 来春を待たずして大注目が確実な球団に指名された。日本ハム1位は早実・清宮。数カ月後にチームメートになる可能性が高い、超高校級のスラッガーに「若い頃から注目されて、ここまできている。見習うこともある。ぜひ、お話ししてみたい」と敬意を表した。スポーツの競争社会に飛び込む覚悟もある。同大法学部で国際法などを学ぶ。学歴を生かしても十分に世界を股にかけて活躍できる社会人になり得るが「未練は特にない。チャンスは今しかない。今だからプロの世界で挑戦したい」と語気を強めた。

 ポリシーとして貫いてきた文武両道から野球一本にシフトする。「自分は指名された選手の中で一番、下手。今までは東大だから注目されていた。プロは平等な世界。結果を出して認められたい」と実力至上主義の世界でガチンコ勝負を挑む。だから、日本ハムについても「強いチームだと思う。東大から行けば、どこも強いチーム」と謙虚に言った。

 球界最高学歴左腕としてマウンドに立つ。会見の質疑応答は歯切れのいい口調で回答のテンポもいい。「負けず嫌いで、高校時代は進学校で名門校に立ち向かってきた。大学でも他の5大学に負けたくないと」とグラウンドではハングリー精神で突き進んできた。ただ、まだ机に向かう時間も残されている。「法学部は卒論がないので、ちゃんと勉強して、まずはしっかり卒業できるように頑張ります」。東大の卒業証書を小脇に抱え、北の大地に乗り込む。【為田聡史】