メジャーへの思いを封印し、頂点を目指す。西武菊池雄星投手(26)が8日、メットライフドーム内で契約更改交渉に臨み、140%増の2億4000万円でサインした。今季は先発の軸として最多勝&最優秀防御率のタイトルを獲得。来季は大リーグ挑戦の夢を胸にしまい、チームを10年ぶりのリーグ優勝&日本一に導くことを誓った。(金額は推定)

 菊池の目は頂だけを見据えていた。「来季は日本一を目指す。そこだけに集中して投げたい」。8年目で初めて、シーズン通してローテーションを守り抜いた。初の個人タイトルを獲得し、大幅昇給も手にした。先発の柱としての自覚と責任が芽生えたからこその、力強い宣言だった。

 大リーグ挑戦という大きな夢はある。今回の球団との交渉過程でも、思いは伝えたとみられるが、会見では「今言うところではないと思う」と話すにとどめた。花巻東の後輩である日本ハム大谷がメジャー球団との交渉真っただ中でも「怪物が、そのままどんどんでかい怪物になっている感じですけど、人のことより自分のことで精いっぱい」と足元を見つめた。

 今季の自分をいかに上回るか。さらなる進化を目指し、今オフは単身で海外に渡る。「今年以上の成績を残せるか、不安が大きい。それを払拭(ふっしょく)するために、日本一の練習がしたい」と決断した。年末年始以外は米国を含めた2カ国で、フィジカルトレーニング中心に鍛え直す予定。「上半身がまだ弱いですが、逆に伸びしろだと感じている」と自身の成長に期待を込めた。

 頂点に立つために、唯一掲げた目標数字は200投球回。「イニング数にはこだわっていきたい。大きい数字ですが、ケガなく1年間フルで戦う意味でも挑戦していきたい」。覚悟を持って挑む9年目のシーズン。「まず自分が勝つこと」と誓った左腕は、夢を胸に秘め、10年ぶりの日本一へ全力で腕を振る。【佐竹実】

 ▼菊池が1億4000万円増の2億4000万円で契約更改。西武で昇給額1億円以上は5人目だが、1億4000万円増は12年中村の1億2500万円増を上回る最大昇給額。