プロ入り決定後、初の“実戦”は、大谷ばりの投打二刀流だった。日本ハムのドラフト1位、早実・清宮幸太郎内野手(18)が9日、中学時代に在籍した調布シニアのOB戦に出場。東京・調布市内のグラウンドで行われた中学3年生とOBの高校3年生によるソフトボール対決に「3番一塁」で先発し、打っては2打数1安打。投げては9回2死二、三塁で救援し、アマ生活を締めくくった。

 笑顔の中心には、常にあの怪物がいた。早実の清宮はソフトボール対決の1回、本塁打を“予告”しながら投飛に倒れて爆笑を誘うと、7回の第2打席では詰まりながらも左前へ。10-6の9回2死二、三塁ではマウンドにも上がり、後輩の4番打者を遊ゴロに仕留めて拍手喝采を浴びた。

 「僕は、この期間、野球の練習ばかりしてたら、4月を迎えた時、みんなと差が開いているのを感じた。休みの期間を無駄にしないで。今、トレーニングしなかったら、いつするんだ。次の舞台へ向けて準備をするのは今しかない」。実体験をもとに、高校へ羽ばたく後輩たちに助言を送る一方、プロ生活を前にした自分自身へ言い聞かせた。

 シートノックでは、遊撃や三塁守備も披露した。恩師の調布シニア安羅岡監督は「中2の時に1度、三塁をやらせたんだけど30分でクビにした」と苦笑いも、日本ハム栗山監督は三塁を含めた複数ポジションでの起用を示唆しており、年明けからは新たな挑戦が待っている。

 試合前に行われたマグロの解体ショーでは、巨大本マグロに驚きつつ包丁を入れ「最高です」と切り身を頬張った。最高の船出を思い描き、思い出のグラウンドに別れを告げた。【中島宙恵】