広島は79、80年以来37年ぶりにセ・リーグ連覇を達成した。胃がんを公表し、グラウンドに戻ってきた赤松の存在がナインを鼓舞。チーム最年長40歳の新井を中心に一丸となって戦った。担当記者の印象に残った言葉は…。

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▽緒方監督「一番邪魔なものは情なんよ」(大きな補強のないまま迎えた今季。チーム全体の底上げを目指し、競争を激化させた指揮官。心根の優しさを欠くし、ときに冷酷な判断に徹したことを表す一言だった=池本泰尚)

 

▽赤松「34歳で胃がんでしょ。死んでても不思議じゃない。でもそこで俺を死なせなかったというのは、何かあると思うから。もう、自分のために野球をするわけじゃない」(前例のない胃がんからの復帰を目指す中で出た一言。ただならぬ使命感を背負い、グラウンドを目指す=池本泰尚)

 

▽菊池「自分のミスで負けた。典型的な負け方。決勝に進めるチームの姿を見て、やり返したい気持ちも焼き付けた。だからいろんなものを見ていました」(現地3月21日、第4回WBCの準決勝で敗れて。一時同点に追いつくソロ本塁打を放つも自分を責め、試合後はベンチの最前列で米国代表のハイタッチの輪を見続けた=池本泰尚)

 

▽エルドレッド「カラゲンキ!」(4月9日、開幕2戦目から連続スタメンが続き、緒方監督から「元気?」と問われて。来日6年目。言葉だけでなく、思考も日本化? =前原淳)

 

▽丸「打撃は0コンマ何ミリを積み重ねるような作業。ゴールも、答えもない」(7月3日、前日に通算100号に王手をかけても休日返上で練習。プロ入りからほぼ無休で練習に取り組む姿は、まるで修行僧。3日後見事に100号達成=前原淳)

 

▽新井「もう1人と対話している。『慌てちゃいけんよ』とか『前に出されるな』とかね」(9回に5点差を逆転した7月7日のヤクルト戦の逆転3ランを振り返って。40歳で達した打席での対話。大打者がたどり着いた領域と感じた=池本泰尚)

 

▽鈴木「神様が変われるチャンスをくれた」(11月、シーズン終盤に右足首の負傷で長期離脱も、自分自身と向き合う貴重な時間になったと感謝した。来季、変化した姿が楽しみだ=前原淳)

 

▽会沢「ストレスは現代人がつくった都合のいい言葉。戦国時代にストレスなんて言葉はない。そんなヤツはすぐに斬られる。生きるか、死ぬか。その世界にストレスは関係ない」(主戦捕手としてマスクをかぶり、批判、重圧をはねのけた。真っ向から立ち向かう意気込みを感じた=池本泰尚)