ウン百万円の腕時計、ゲットしてみろ! ソフトバンク柳田悠岐外野手(29)がニンジンをぶらさげ、愛弟子の真砂勇介外野手(23)にレギュラー奪取指令を出した。5日、2人で福岡空港から自主トレ先のグアムへ出発。超高級腕時計獲得の条件に、今季の規定打席(443打席)到達を挙げた。ギータが先生役を買って出て、キャンプインまで「ミギータ」と呼ばれる真砂をみっちり指導していく。

 ギータらしい豪快な一言だった。愛弟子の高卒6年目外野手、真砂に向かって言い放った。「規定打席に到達したらウン百万円の時計、買ってやる」。驚いた真砂は笑顔で応えるしかなかった。

 ブレークを期待された昨年、真砂は夏場に1軍昇格を果たしたが、わずか13打席で12打数1安打。右肩痛を発症しファームに降格した。ただ、その1安打というのが8月3日オリックス戦で放ったプロ初安打初本塁打。柳田は、そのお祝いとして30万円のキャリーバッグをプレゼントしていた。今度のハードルはかなり高いが、真砂なら越えられると信じているからご褒美を設定した。

 ともに自主トレを行うグアムでは、柳田が打撃コーチ役を買って出る。「真砂と一緒に1軍で戦いたい。教えられることは教えたい。昨年はそんなに教えていない。見たら分かるだろうと思ったけど、見ても分かんないっぽいから」。長打力ではひけをとらない真砂にとって、打率3割を残す柳田の確実性は、何としても身につけたいところ。右肩にまだ違和感はあるが、真砂は「打撃のことをいろいろ聞きたい。打つことは問題ないので、打撃と走り込みをしてきたい」と食らいつく気持ちを示した。

 柳田自身も小久保氏から高級時計を贈られた経験がある。小久保氏が引退した12年のこと。6月下旬から1軍定着し5本塁打を放った柳田に、選手会納会の席で後継者の証しとして数十万の高級時計をもらった。その感激をアレンジした「ギータ基金」を15年に設立。出場試合数に応じたプレゼントを高田に贈ったこともある。以降は大きな約束をしてこなかったが、「もっともっと高いレベルを目指して。目標も高く。プレゼントもすごいものを」と期待する真砂に提案した。

 もちろん、自身も外野の定位置を渡さないようにグアムで鍛えていく。正月の間もランニング中に坂道を見つけると猛ダッシュを繰り返した。一緒に自主トレする阪神糸井、オリックス吉田正らと刺激し合い、自身もケガに負けない体を作り上げる。【石橋隆雄】