20発打ってもレギュラーじゃないんで! 阪神中谷将大外野手(25)が20日、甲子園球場で自主トレを公開した。昨季、右の生え抜き選手では06年浜中以来の20本塁打を放ったが「20本打ったからといってレギュラーだということではない」と慢心せず、今季はキャリアハイの打撃成績を目指す。中谷と同じくセンターの定位置を狙う俊介もこの日、三重県伊賀市内で自主トレを公開。一昨年の新人王、高山を加えた中堅争いは激しさを増す一方だ。

 獲物を追うような目で、中谷はスイングを繰り返した。結果を出さなければ、積み上げたものが無駄になる。報道陣の前に立ち、謙虚に語り始めた。「(昨季)20本打ったからといってレギュラーだということではない。アピールしないといけない立場なので(キャンプは)最初から飛ばしていきたい」。そう語るのには理由があった。

 昨季は球団の右の生え抜き選手で06年浜中以来となる20本塁打を放ち、自身初の規定打席に到達。自身最多の133試合に出場した。それでも満足できないのは、シーズン終盤に信頼を失ったためだ。「最後の方は(試合に)出てないので(今季は)また最初からという思いが強い」。勝負どころのCSで代打の1打席のみの出場。悔しさが残った。

 反省を踏まえてオフを過ごしてきた。「(昨年は)1年間戦える体力がなかった。終盤は体力が全然なかった。中盤でも『しんどいなぁ』と思う日もあった。もっとバテないようにと思って、1年間戦える体力づくりをしてきました」。主に走り込みやウエートトレーニングで年間を通して動けるように鍛えてきた。

 ロサリオの加入で一塁がほぼ埋まり、ベテランの福留、糸井が両翼を守れば、中谷が食い込める場所はセンターしかない。そこを俊介や高山らと争うことになる。期待されるアーチについては「何本という明確な目標は考えていない。昨年よりも1本でも多く打ちたい。全部(の打撃部門)でキャリアハイを目指せるようにやっていきたい」。持ち味の長打だけでなく、打率や打点も上積みしてライバルを引き離す。

 手渡された色紙には、今季の抱負として「存在感」と書いた。「守備でもバッティングでも、走塁でも、ベンチでも存在感を出してアピールして、優勝に貢献できるようにしたい」。中谷がキャリアハイの成績を残せば、18年打線はグッと厚みを増してくる。【真柴健】