東北福祉大の藤川昂蓮(こうれん)投手(4年=京都外大西)がリーグ戦で初先発し、最速152キロの直球で初勝利を挙げた。開幕投手に指名され、東北工大相手に6回4安打9奪三振で2失点。教職課程の履修により、全体練習にフル参加できるのは週末だけだが、授業後の夜間個人練習で培った努力を実らせた。学業と両立する右腕は、夢のプロ入りに挑む。昨秋王者の仙台大も東北大に6-0で先勝した。

 151キロ直球でいきなり空振り三振を奪う、衝撃のスタートだった。藤川は2番打者の3球目にこの日最速の152キロ。昨秋に記録した自己最速を3キロ更新した。12日に告げられた開幕投手を初勝利で飾り、「ペース配分は抜きに、ねじ伏せようと思った。8、9割はストレート。アタマを任せてもらえることはうれしかったし、いつもより指に掛かっていたかなとは思う。150を超えたのはビックリ」と喜んだ。

 試合後、ネット裏で計測していた仲間から1枚の集計用紙を渡され、思わずニンマリ。こだわっていたのは初速と終速の差だった。2回までに出た150キロ以上の数球中、終速も145キロを超えた球があり、手応えをつかんだ。試合前に昼食がのどを通らず、約1時間かかった緊張を感じさせない投球。4四球や4回の連打は反省も「プロに行きたい」と目標を掲げた。

 これが3季ぶり、リーグ戦は2試合目の登板だった。捕手のような変則フォームとの出会いが転機だった。以前はテークバックをしっかりとっていたが、昨秋に変更。ノック中に一塁に送球した“野手投げ”に周囲から速さを指摘された。「130キロくらいしか出なくて悩んでいたが、『これだ』と思いました。肘が上がった」。足を上げると同時に、耳の脇にボールをセット。そこからしっかり振りきる力強さが備わった。

 文武両道も貫く。京都外大西時代もスポーツコースから特進コースに転籍。大学では社会科教師を目指して教職課程を履修する。終日で授業が続くため、練習にすべて参加できるのは土日だけ。平日夜は午後6時の夕食後、1人で室内練習場へ。「体を鍛えることがテーマでした」。ウエートトレーニングを中心に、消灯時間の午後10時まで自主練習を継続してきた。

 大塚光二監督(50)も「夜にコツコツやってきた姿を、みんな知っている。小泉総理じゃないけれど、感動した。とにかく真ん中に投げ込んでほしい」と絶賛。ラストイヤーの飛躍で、無名からのプロへの階段を駆け上がるつもりだ。【鎌田直秀】

 ◆藤川昂蓮(ふじかわ・こうれん)1996年(平8)4月11日、京都市生まれ。小1に山階スポーツ少年団で競技を始め、安祥寺中では軟式野球部所属。京都外大西で2年春からベンチ入り。家族は両親と妹2人。183センチ、83キロ。右投げ右打ち。血液型O。