長いトンネルを抜け出した。楽天がロッテに5-0で勝利し、連敗を4でストップ。両軍無得点で迎えた4回、4番ゼラス・ウィーラー内野手(31)の3号ソロで先制し、7回には代打の今江年晶内野手(34)が2点適時打を放って勝負を決めた。投げても先発の岸孝之投手(33)から3投手で無失点リレーを達成。久しぶりに投打がかみ合って、ロッテから開幕戦以来の白星を挙げた。

 やませの影響で、気温9度にまで冷え込んだ仙台の寒い夜を「くしゃみ1発」で吹き飛ばしたのは、やはりハクション大魔王のウィーラーだった。開幕から半袖を通し続けた元気印だが、この日は長袖に衣替えして臨んだ。軽快に三振の山を築くロッテ先発の石川から4回、左中間へ先制本塁打をぶち込んだ。祝福のベンチ前では、テレビカメラに向かって歓喜を爆発させた。

 開幕から好投を続け、この日もゼロを並べ続ける岸に報いたかった。開口一番「岸が頑張っているからね。前回もなかなか援護できなかったから、何とかしたかったんだ。まずは先制できて良かったよ」と笑顔を見せた。前カードは西武に3連敗。すべてプライドを傷つけられる負け方だった。自身も凡退に腹を立て、ベンチ脇でバットとヘルメットをたたきつけた。乱闘騒ぎでは真っ先に仲裁に入る好漢でも、怒りを抑えることができなかった。そんな、天候と同様に寒いチーム状況で迎えた一戦を制した梨田監督は「ウィーラーが打つとチームが乗るからね」と言葉に実感を込め、勝利をかみしめた。

 7回に2点適時打を放ち、勝利を決定付けた今江も、お立ち台で「岸に『今日は打ったる』と言っていた」と、有言実行にドヤ顔で応えた。移籍3年目の今季、バットは好調と言っていいだろう。最後は「今季で移籍3年目ですが(応援グッズの)今江タオルをあまり見かけません(失笑)。2年分の在庫が相当あるみたいで…今から半額で売ってくれるそうです。帰りに買って下さい」と観客に呼びかけると、ドッと笑いが起き、球場は温かい雰囲気に包まれた。

 冷気に包まれながらも2万人超のファンが集まって、温かい声援を送り続ける姿こそが楽天ファンの神髄と言っていい。自力優勝も復活。梨田監督は「仙台で勝てて、ホントうれしい」と言葉に実感を込めた。【鈴木豊】