やはり甲子園の申し子だ。ソフトバンク今宮健太内野手(26)が「甲子園1号」の本塁打で2連勝を導いた。1点リードの6回1死。高橋遥の直球をバックスクリーンへ運び、4月11日以来の2号2ラン。高校時代は甲子園で本塁打なし。プロでは44打席目で「ファームでは打っていますけどね、1軍では初めて」。自身も塁を回りながら手をたたくほどうれしい聖地1号だ。3安打に加え、守備でも5回1死二塁で、抜ければ同点という福留の二遊間への強烈なゴロを横っ跳び好捕しアウト。驚異的なプレーで虎ファンにため息をつかせた。

 明豊(大分)では2年春と3年春夏に甲子園に出場。3年夏は背番号6の遊撃兼投手として活躍し、最速154キロの剛腕ぶりを見せ4強入り。高校野球ファンに強烈な印象を残した。今宮自身も「自分が一番弾けた場所ですし、好きな場所。自然とこういうテンションになる」と力をもらい、輝きを放った。

 けがの功名で編み出した「片手打ち打法」で放った1発だ。右肘の違和感で22日西武戦からスタメンを外れた。そこからの復帰を目指す中での打撃練習で、右肘への衝撃を抑えようと打つときに右手を離してみた。昨オフから「力感をなくして打つ」ことを掲げてきたが「意識していても、なかなかできなかった」。それが片手打ちで自然と力が抜け、開幕から苦戦していた打撃に上昇の光が見えた。26日のスタメン復帰後は、これで17打数8安打と好調だ。

 チームも連勝で4カードぶりの勝ち越しを決めた。4連覇を狙う交流戦最初のカードでのいい滑り出し。今宮は「3連勝できるように頑張りたい」と甲子園での今季最後の1戦に気合を入れた。【山本大地】

 ◆ソフトバンク今宮の甲子園 高校通算62発の今宮は大分・明豊で2年春、3年春、夏と3度甲子園に出場している。だが通算7試合に出場し、本塁打は1本も出なかった。3年春は2回戦で花巻東の菊池と対戦。4打数1安打だった。3年夏は準々決勝で再び花巻東と対戦。同点の9回1死三塁でマウンドへ。初球から5球連続150キロ超の直球をマーク。連続三振で切り抜け満員の甲子園を沸かせた。打者としては菊池に2打数無安打だった。3年夏は4試合、14打数6安打、打率4割2分8厘だった。