文字通りの史上最強助っ人だ。阪神ランディ・メッセンジャー投手(36)がスイスイと投げ続けた。7回3安打2失点の好投。中5日での登板もなんのその、わずか89球での省エネピッチで押し込んだ。これで3年連続7度目の2桁勝利となる10勝目。7度の2桁勝利は外国人投手で史上初の快挙。メッセンジャーは汗をぬぐい、胸を張った。

 「今年達成したい目標の1つだった。クールだね。長きにわたって名を残せる記録の1つになったと思う。たくさんのいい投手がいたなかで、上に立てるのはすごくいい経験です」

 1回にソトに同点ソロを食らったが、以降は低めを丁寧についた。早打ちのDeNA打線を手玉にとった。3回から5回は1人の走者も出さず、自軍の打線爆発を呼び込んだ。7回の筒香には146キロの直球の後、116キロのカーブで見逃し三振。金本監督も「時にパワー、時に頭、時に駆け引きとか。考える力がないと、この世界はなかなか難しい。それがメッセはあるからね。おめでとうだね」と最敬礼だ。

 チームを、日本を愛している。日本語の教科書を手に取って勉強。「次のページにいったら、もう前のページのことは忘れているけどね」と笑い飛ばす。球団スタッフの異動が決まれば送別会を主催して別れを惜しんだ。鳴尾浜での残留練習では若手投手の投球をブルペンでチェック。助言を惜しまず「投球のことを伝えたよ。投手コーチはノーチャンスだね(笑い)」と豪快にジョークを飛ばした。愛する分だけ愛される右腕は、新記録樹立にも「チームメートに感謝したい」と口にした。

 バッキー氏が記録した虎助っ人最多勝利の100勝にも、あと6勝と射程圏内。指揮官は今後も短い間隔でローテを回すことを明かし、自身も「もちろんだよ」と今季中の到達に狙いを定める。最強助っ投ロードを歩んでいく。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーが7回2失点で今季10勝目を挙げ、3年連続7度目の2桁勝利。外国人投手で7度の2桁勝利は、最多で並んでいた郭泰源(西武)を上回り、史上初めてとなった。また阪神で2桁勝利を7度以上は、67~75年に9度達成の江夏以来。