阪神北條史也内野手(24)が28日、レギュラー奪取を誓った。「勝つためにやれたらなと。(打席では)チャンスを広げたり、勝つために何が必要か考えてやります」。16年、鳥谷を三塁に押しのけてまで、1度は遊撃をつかみかけた。だが極度の打撃不振で脱落。今季こそとポジション奪取を胸に刻み込んでいる。

 好調な打撃力でアピールを続けている。チャンスに強く、得点圏打率は4割7分1厘。さらに7月の月間打率は4割を超え、今季スタメン出場20試合中18試合で安打をマーク。金本監督は「(チャンスを)つかむか、放すかは彼次第。ポジションは渡すものじゃない。ある程度はコイツで行こうかなというものを見せてくれたら少々は我慢する」と遊撃スタメン起用継続を示唆。「星野(仙一)さんも『我慢させるような選手だから我慢した』と。それくらいのものを見せてくれたら、もちろん使い続ける」と“闘将イズム”でアシストする考えだ。

 今季は開幕2軍スタート。だが腐らず、鳴尾浜で出番を待った。初昇格した6月1日西武戦から9打席連続で安打が出ずに降格。だが同22日の再昇格後は猛打を振るい、前日27日ヤクルト戦(神宮)では、10度目のマルチ安打を披露した。

 だが、満足はしていない。金本監督も6回2死満塁で一飛に倒れた淡泊な打撃を厳しく指摘した。「チャンスでなあ、もったいない。ああいう悪い時の北條の形が出た。そこを修正しないと」。一方で「打つ方はいいポイントをつかんでいる。ずっと、片岡(ヘッド兼打撃コーチ)と『ポイントの確認だけやっています』と言っていた。それがやっと出始めた」と評価も高めている。チームは31日にも自力Vが消滅する危機。北條が打ちまくれば、浮上のきっかけになるはずだ。【真柴健】

 ◆阪神今季の遊撃事情 開幕から糸原が遊撃で先発を重ねてきたが二塁に転向。俊足の植田が4月末から6月まで先発を重ねるなど、遊撃でチーム最多の57試合に出場する。7月に入ると北條が11試合に先発。月間で52打数21安打、打率4割4厘と打撃でめざましい働きを見せ、定位置を奪う勢いだ。新人の熊谷も4戦で先発し、6月30日ヤクルト戦(神宮)でマルチ安打を放つなど存在感を示した。