夏場のベテランは頼りになる。阪神鳥谷は左投手相手のスタメン起用に応え、決勝打となる先制タイムリーを決めた。

 2回無死一、二塁で左腕浜口の低め143キロ直球をミートし、ライナーで右中間にはずませた。「とりあえず真っすぐを、と思っていました。バントもあるかなと思ったけど打たせてもらったので、つないでいこう、と」。ベンチの強攻策選択を正解にした。

 出場機会を減らしている今季は、右投手相手の起用が続いていた。この日の相手先発は、試合前時点で左打者は被打率3割1分5厘、右打者は2割2分4厘の左腕浜口。相性も含めて満を持して送り出した鳥谷が、チームを勝利に導き、金本監督も「春先よりはいまの方がだんだん振れてきている。暑い時に調子を出すタイプですからね」と納得顔だ。

 5回2死からは左翼線二塁打を放ち、7月8日DeNA戦以来となるマルチ安打を記録した。これで出場3試合連続安打、得点圏打率3割3分3厘と、ジワジワ存在感を出してきている。「常に準備して、言われた時にしっかりやるだけ」と冷静な背番号1。陽川の右肘痛が心配される中、生え抜きリーダーにかかる期待は大きくなる。【佐井陽介】