広島大瀬良大地投手(27)がハーラートップを独走する13勝目を手にした。前日は終盤に逆転満弾を含む3者連続本塁打を浴びるなど嫌な形での連敗となり迎えた一戦で悪い流れを断ち切る力投。チームに優勝マジック30を再点灯させた。

 本調子ではなかった。それでも1回を3者凡退で滑り出し、2回に右翼鈴木が打球を見失う二塁打から先制点を失う不運がありながら、1失点でこらえた。3回は連続四球で迎えた1死満塁で筒香を遊撃への併殺で切り抜けた。「外への厳しい球を打ってもらおうと」開き直って148キロを投じた瞬間、踏み出した左足が後ろにピョンと跳ねた。

 「真っすぐがいいときに自然となる」

 九州共立大の1年時、初めて出場した神宮大会の初球に初めて経験した。マウンド上では「なんでだろう」と1イニング投げ終えるまで不安だったが、ベンチに戻ると捕手から「大地、真っすぐがやべぇ(くらいにいい)よ」と驚かれ安心したという。

 調子が良くない中でも局面で最大限の力を発揮した。ピンチを切り抜けると、7回まで無失点。8回途中からは中継ぎにマウンドを託したが、今季大黒柱に成長した姿を証明するマウンドだった。緒方監督も「今年はチームの柱として勝負どころでしっかり投げてくれている。チームに勇気を与えるナイスピッチングだった」と最敬礼。右腕は「流れが良くないのは分かっていた。何とかいい投球をしてこっちに引き寄せたいと思っていた。チームが勝てたのは良かった」と胸を張った。広島が大黒柱の好投で、3連覇へ向けて弾みをつけた。【前原淳】