侍ジャパンの稲葉篤紀監督(46)が「2018日米野球」(11月9日開幕、東京ドームほか)に向けた合同インタビューに応じ、4番候補の1人に挙げる一塁手が本職の巨人岡本和真内野手(22)を三塁手で起用するプランなど、各選手の起用法や戦い方を語った。10日に出場28選手を発表。MLBオールスターチームと全6試合対戦する。

-選手選考のテーマは

「基本的にはオリンピックを見据えてと言うことを基本線にしています。その中である程度経験ある選手を入れて、ジャパンというのはこういうものだよというのを伝えてほしい選手を入れました。あとは若い選手で、日の丸を背負って戦うことを経験してもらうことで、オリンピックに向けてステップアップしてほしい選手も入れて。ある程度経験ある選手と若い選手の融合チームです」

-各ポジションのバランスは

「今回の日米野球に関しては球数制限がありますので、ピッチャーを14人入れる中で、野手は14人。キャッチャーは3人入れたので、6試合ありますので、そういう意味でも、ある程度元気な選手といいますか、あまりシーズン中にケガしている選手とか、そういう選手はなるべく、休んでいただこうと。そういう中でメンバーを選考しました」

-そういう意味で巨人坂本らが外れたのか

「そうですね。メンバーに入っている選手の中でもシーズン中にケガした選手もいるんですけど、まあこれはすごくコーチの方たちと悩んで。メンバーはバランスを整えていかなくてはいけない。シーズン中に成績を残したばっかりの選手を集めてもダメですし。その辺はすごくコーチと悩み抜いて、メンバーを決めました」

-野手は多くのポジションを守るユーティリティー性も試すか

「全くやってないポジションを試そうとは思ってません。少しでもやったことがあれば、試そうかなと思ってます」

-西武森の外野起用は

「森選手に関しては今年キャッチャーとして、ものすごく見ていても成長を感じますし、リード面でもピッチャー陣を頑張ってリードしているなと感じられましたので、キャッチャーとしてと考えてます」

-広島会沢含めて打てるキャッチャーを選出した

「当然キャッチャーも打てた方がいいので、当然バッティングも1つ大事なことになってくる。今年は森選手も会沢選手も非常にバッティングがいいですし、リード面でも両チームを優勝に導いたキャッチャー」

-4番の構想は

「難しいですね。すごく悩んでいるところではあります。正直に言いまして。やっぱり打順も考えた時に、打てる選手ばかり並んでも動けないですし、どうすれば一番機能するのか、まだ全然考えてる途中はありますけど。一番経験がある筒香選手がジャパンの4番をずっと打ってきましたから。当然筒香選手を基本線には考えていきますけど、山川選手が4番に入った時にどうなのか。岡本選手が4番に入った時にどうなのか。いろいろなことを考えながら決めていきたいと思ってます」。

-西武山川と巨人岡本の今季の活躍について

「山川選手は(昨年)11月も一緒にやらせてもらって。今年に懸ける意気込みはすごく感じていました。シーズンで活躍しないとジャパンには選ばれないと、彼の中の考え方はすごくしっかりしていた。それを見事結果に残したことに、彼のプレースタイルはすごく評価したい。岡本選手はジャイアンツという非常に人気があるといいますか、周りから期待もされる中で4番を務めて、これだけの経験、成績を残したので、前から長打力が非常にあると見ていましたけど、今年に関してはしっかり成績も残しました。また彼は途中からサードも守りましたので、今サードというポジションはジャパンの中でも、これから探していこうというところですので、そういう意味では岡本選手をサードとして、という考えは今は持ってます」

-山川ら5選手が昨年のアジアチャンピオンシップからの代表メンバー

「昨年11月にやってから、特に外崎選手は非常に成長してくれた。ジャパンを経験してかは分からないですけど、非常に頼もしく見てました。特にいろいろなポジションを守れるし、非常にガッツマンですので、これからも非常に楽しみにしている選手」

-各球団を直接視察ことで見いだした選手は

「どうでしょうかね。あの視察というより1年間通してある程度見ている中で、今回選んでますので。中日の笠原投手は非常に何て言うんですかね、特殊球のチェンジアップ。あれはメジャーリーガーに対してどこまで通用するか楽しみにしたい。投手は左ピッチャーがこれから大事になってくる。高梨投手は11月も入って、気持ちの非常に強い子。シーズン中に調子は落としたんですけど、後半に強い球が出てきましたし、成長しているんじゃないかと思います。松永投手も1回ジャパンに入ったことがある。その時はまだ経験もなくて入ったと思う。その時から強い球は投げていた印象。今回はロッテの中で、1年間頑張っていた」

-6試合の中で、抑え投手については

「球数制限もありますし、2日登板したら1日休みとルールが決められている。今回石山投手、山崎投手、松井投手と3人抑え候補を選びましたけど、僕の中では山崎投手が1番の候補ではありますけど、連投がなかなかきかないので、そういう場面になったら3選手の中でやっていこうと思ってます。あとは点差が離れたりすると変わってきたりする。後ろのピッチャーは臨機応変にやっていこうと思います。何せ球数制限があるので。非常に連戦になってきますし。考えることはたくさんある」

-野手はある程度固定したメンバーにするか、出場機会を均等にするか

「キャッチャー3人除くと野手は11人。その中で、8人は守るということで、ある程度固めていかないといけないのかなという風に思ってます。いろいろな可能性を持てるメンバーですので、まあいろいろ試してもおもしろいのかなとは思ってます」

-打順の構想は

「いろいろ試せますので。固定観念を持たずにいろいろやりたい部分ではありますけど」

-1番を打てる選手も多い

「まだこれからいろいろ考えなくちゃいけないけど、1番候補はたくさんいますので。その試合でどうやったら、組んだ打順で点数を取っていけるか、いろいろ考えながらやっていきたい。あまり固定観念は持たずにいろいろな可能性を含めて。今年に限ってはある程度試せる年だと思ってますので、いろいろな打順をやってもらいながら6試合進めたい」。

-同じ二塁手のヤクルト山田哲と広島菊池の起用法は

「非常に難しいですね。山田選手はセカンドとDHですね。打つ方も戻ってきたし、走る方も足がありますので、菊池選手が先に出ることになれば代走ということもありますし、この辺は。うまく使っていこうと思ってます」

-日本のボールに近いボール(WBSC公認球)だから選出した投手は

「岸投手はそうですね。アメリカのボールが合わなくて。今年も非常に調子が良かったし、成績もしっかり残してますし。僕も対戦たくさんしましてけど、初見ではなかなか、岸投手は打ちにくい。年齢もベテランで、いろいろな経験もしてますし、彼には期待を持っている」。

-米国投手陣の“動く球”を攻略するという観点から選んだ選手は

「どうでしょう。まあ。みんなどちらかといったら広角に打てるので、逆方向にホームラン打ったりできますので。動く球というのは基本的にすごく難しい。ある程度メジャーの動く球というのを、こういう若い選手を含めて、経験してもらいたいなと。打てる打てないではなく、経験してもらいたい」

-作戦面ではどのようなことを重視するか

「基本的にはスチールはフリー。スピード&パワーというところで、なかなか国際大会は毎回行ってますけど、走れないですよね。ピッチャーもボークギリギリの線で来たりとか。ジャパンに入ると安全に安全にというところがあるんですけど、どんどん仕掛けていってやってもらいたい。このメンバーは能力ある選手ばかりなので、全部任せる訳じゃないですけど、ある程度技量を持ってますし、試合の中の自分がどうしなくちゃいけないか分かっている選手。そんなにいっぱいサインを出してということはないと思います。勝つためにサインを出すことは当然あると思う。そういうことはやっていきたい」

-6試合の目標は

「全部勝ちに行きます。日の丸を背負っている戦いは、すべて勝ちに行くことが大事。全部勝ちに行くつもりです」

-3、4、5番のクリーンアップは固めるか

「そこはまだ悩んでいる最中ですね。コーチと話し合って決めますけど。僕の中ではいろいろ変えていきたいとは思ってます。ですが勝ちに行くために、流れはありますので、それがはまっていれば、それでいくというのもありますし。少し変えていく部分もあると思います」

-6試合で先発は何人

6人で回します。(先発が本職の投手も)中継ぎに回るピッチャーもいます。先発は80球までなので、4回、5回ですので。そのあと長いイニングを投げられてというところで。先発がそっちに回るピッチャーもいます。先発6人は何となくは決めてますので、後ろは山崎、松井、石山といるので、その他のピッチャーで5回以降やっていくという形になります。

-ダブル先発ということか

「第2先発という風に考える考え方ですよね」。

-4年前の日米野球もコーチとして参加していたが、独特の雰囲気の中、五輪本番より格上の相手と戦う。選手には何を感じて、何を得てほしいか

「今は自分の持っている力を、そのメジャーリーガーと対戦できるので、思い切って勝負してもらう。挑戦してもらう。その中で、選手たちが何を感じるか。何が通用して何が足らないか。という部分を得てくれたらいいかなと思います。これを2年後のオリンピックまで。来年プレミアありますので、プレミアという大会も勝ちに行きたいので、それも含めてオリンピックまでの間に、何が良くて何が足らないか。見つけてもらって成長してくれたらいいかなと思います」

 

【大会規定】

◆DH制 採用する

◆ベンチ入り 28選手(うち投手は14人以上登録しないといけない)

◆予告先発 実施する

◆リプレー検証 実施しない

◆申告敬遠 実施する

◆投手の球数制限 80球を超えて投げることはできない。ただし、ある打者の打席中に投球制限に達した場合は、その打席完了まで投球できる。50球以上投げた場合は次の登板まで中4日を空けなくてはならず、30球以上、または2日連続で投げた場合、次の登板まで中1日空けなければならない。

◆捕手の交代規定 最後に出場した選手が負傷によりプレー続行不可能になったため捕手がいなくなった場合、すでに退いた捕手が再出場できる。

◆使用球 MLBオールスターチームはMLB公認球、侍ジャパンはWBSC公認球を使用する。エキシビションゲームでは巨人がNPB統一球を守備時に使用する。

◆賞金総額 1億円。第1戦から第6戦の各試合勝利チームに1000万円、引き分けの場合は各チームに500万円。加えて優勝チームに4000万円。対戦成績が引き分けの場合は、優勝賞金を両チームで折半する。