阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)が、在籍10年目の来季は単年契約で残留することが12日、分かった。今年4月に国内フリーエージェント(FA)権を取得。球団は早々に交渉を開始し、今季11勝の助っ人右腕と「スピード合意」に達した。この日、米国に帰国。来季からは日本人扱いとなり、4つの1軍外国人枠が1つ空く分、「いい助っ人を取って」と逆襲を願って珍要求した。

最下位に沈み、金本監督の電撃辞任が決まり、傷ついた虎に「補強第1号」の朗報が舞い込んだ。今季11勝を挙げ、大黒柱として奮闘したメッセンジャーが単年契約で合意していたことが判明。4月に国内FA権の取得条件を満たし、来季からは日本人扱いになる。チームは欠かせぬ戦力として高評価し、取得早々から交渉を重ねてきた。米国に帰国したこの日までに、晴れて来季残留が決まった。

来季は来日10年目で、阪神の外国人史上最長になる。大車輪の働きを見せたが、家族とともに米国へ帰国する関西空港では、悔しさをあらわにした。

「いいスタートを切れたんですけどね。途中からどんどん悪い方向に向かっていく部分があって。自分自身でも思い通りにいかなくて腹はたちましたけどね」

8月10日のDeNA戦(横浜)を最後に、白星を挙げることはなかった。日米通算100勝まであと1勝に迫ったところで、8試合連続で偉業達成を逃した。日本100勝にもあと5勝。「来年の目標のひとつにはなりますね。もちろん今年のうちに達成したかった。どちらもね。まあでもしょうがない。それも野球ですから」と淡々と語った。

シーズン終盤は苦しんだが、充実感もあった。「2桁勝利」、「1500イニング到達」、「外国人最多奪三振記録」の達成だ。「この1年不運なことばかりが起こるシーズンでしたが、個人的には3つのことを成し得たと思っている」。

一方でチームへの要望も明かした。来季から日本人扱いとなる分、4つの外国人枠が1つ空く。新加入したロサリオは開幕4番を務めたが不発に終わり、今季限りでの退団が決定的。自らの立場も推し量ってか、「なんとかチームの助けになってくれるようないい助っ人、力になってくれる外国人をとってほしいなと思います」と期待。助っ人が最強助っ人を求める珍要求に逆襲への思いを込めた。

前日11日には、現役時代に一緒にプレーした金本監督が辞任した。「もちろん残念ですし、いまだに信じられない」。若手選手の台頭も含め「監督が作ってきたチームの方針は間違っていない。新しい監督も引き継げるところを引き継いで、同じ方向を向いてほしい」。指揮官の無念も晴らすべく、虎の大黒柱が来季もチームを支えていく。