確かな計算力を示した。ヤクルトのドラフト1位清水昇投手(22=国学院大)が9日、埼玉・戸田球場での新人合同自主トレ2日目に全球団ルーキーの先陣を切ってブルペン入りした。

正確無比にミットをたたいた。気温6度。透き通る冬の空気で凜(りん)と立った。どっしりと右足1本でタメを作ると、なめらかに重心移動を開始。捕手方向にブレなく左足をつくと、右腕をしならせた。伸び上がる直球で30球。再現性の高いフォームに左足の着地点は深く掘れた。「ブルペンは今年初めて。第1クールでしっかり投げられてよかった」と口にした。

丁寧な所作に逆算の思考がにじんだ。ブルペン入り直前のキャッチボール。1球ずつ、かじかむ手に息を吹きかけた。じっくり指先を温めると、体重移動を確認しながら腕を振った。距離が約60メートルに伸びても時間をかけて準備。受け手の胸元に間違いなく投げ込んだ。「制球を良くするために重心移動は心がけました」と無駄なく備えていた。

この瞬間に照準を合わせていた。年末年始も母校帝京高などで練習。「大学の時も練習始めに(ブルペンに)入っていましたから」と本格的な始動日を頭に入れて、肩を作ってきた。ヤクルト石川のような制球力が武器で、担当の丸山スカウトも「フォークに近いツーシームで空振りも取れるし、抜群の制球がある。自分で考えるし、完成度が高い」とゲームメーク力に太鼓判を押す。

春季キャンプは1軍同行が内定し、見据えるのは開幕ローテ入り。「自分のペースでやっていきたい」と焦らず、計算できる即戦力右腕となる。【島根純】

 

○…清水は準備する力が高い。昨年10月末の指名あいさつでは憧れのヤクルト石川の成績を調べて「11度の2ケタ勝利をされている」をさらりと答えて、周囲を驚かせた。この日行われた1キロ走では3本中2本でトップを記録。3分45秒、同50秒、同47秒とペースを乱さなかった。上位の持久力を見せ「引退してから寮に入るまで、ランメニューに力を入れてきました」と逆算する力を証明した。