「東海キャノン」が今季初戦でさく裂した。立大(東京6大学リーグ)と東海大(首都大学リーグ)のオープン戦が17日、埼玉・新座市の立大グラウンドで行われた。

立大・藤野隼大捕手(3年=川越東)と東海大・海野(うみの)隆司捕手(3年=関西)はともに、今秋ドラフト候補に挙げられる大学球界屈指の好捕手だ。2人の対決とあって、100人を超える大学野球ファンが押し寄せた。

この日、ライバル対決を制したのは海野だった。初回2死一塁、立大・江藤勇治三塁手(3年=東海大菅生)が盗塁を仕掛けるも、悠々と刺した。「スタート、別に悪くなかったよな?」「(捕球後のボールの)握りかえ、まじで速い…」と立大ベンチがどよめいた。この時の二塁送球タイムは1・85秒(本紙計測)。捕手が投球を捕ってから送球し、二塁に到達するまでのタイムは1・90秒~95秒でも速いとされる。海野は「2回、3回と徐々に肩が暖まってくるので」と言いながら、初回から見せつけた。

これまでの実戦の盗塁阻止でマークした最速は、1・78秒だという。「甲斐キャノン」で知られるソフトバンク甲斐は、最速1・71秒とされる。海野の強肩は甲斐をも視野に入れる。圧巻は5回裏、イニング間の二塁送球だった。捕球直前に左足に重心を寄せると、捕球後一気に二塁へ投げた。ストップウオッチの数字は1・74秒を示していた。昨年末には「肩だけは誰にも負けたくない。得意分野をめちゃくちゃ伸ばしていきたい」と話していたが、年明けの対外試合初戦で、最大の長所を存分に披露した。

一方の立大・藤野は、パスボール2つとやや精彩を欠いた。盗塁阻止機会はなかったものの、イニング間の二塁送球は1・96~2・05秒の間にまとめ、制球も安定していた。「海野のセカンドスローは参考になる。ベンチでもずっと見ていました」と話した。

試合は東海大が2-1で立大に勝利した。立大は2点を追う9回裏2死二、三塁、中嶋瞭内野手(2年=佼成学園)が右前打を放ち、三塁走者が生還し1点差に迫った。しかし、同点を狙った二塁走者は本塁タッチアウト。遠投125メートルを誇る東海大・藤井健平右翼手(3年=大阪桐蔭)が矢のような返球を見せた。鉄砲肩の海野も驚くレーザービームで、試合は終わった。【金子真仁】