阪神矢野燿大監督(50)が宿敵巨人を警戒した。今季初の伝統の一戦。甲子園に降りしきる雨が骨身に染みた。打線が沈黙し、2点ビハインドで迎えた9回。尾仲が代打ゲレーロに低めスライダーをすくわれ、あっけなく左翼に被弾した。

昨季、33本塁打の4番岡本や快足の吉川尚らを欠くなかでも重量打線の脅威にさらされた。指揮官は「強力だよね。これで、あと岡本、吉川、捕手の小林も含めていない打線で…。阿部も後ろで捕手でも代打でも控えている。層的に言うとやっぱり強いなとメンバーを見ても分かる」と言う。昨年、8勝16敗1分けと大敗。今季も一筋縄でいかない相手だが武者震いした。

「広島、巨人を意識して戦うことで、他のDeNAやヤクルトや中日にもいいゲームができていける目安のチーム。常に意識して、これからもやっていく」

ライバルは巨人と公言してきた。だが、主力が合流したこの日も打線は湿ったまま。左腕今村を打てそうで打てず、5回を無得点。9回に1点を奪うのが精いっぱいだった。チーム打率は1割8分3厘。オープン戦は引き分け1試合を挟んで6連敗の窮状だ。12球団で唯一の白星なし。まだ調整期間とはいえ、矢野監督も危機感を募らせた。

「ある意味、これがシーズンじゃなくて良かった。だからこそ、前を向いてやっていかないとアカン。オープンで勝てていないのは自分自身、もちろん分かっている。数字は追いかけたいところではあるけど、やることはシーズンに向けて状態を上げて。落ち込むとかが一番良くない」

主砲候補のマルテが連日安打の上向きで、2番候補の近本は2死から自慢の脚力で二盗に成功。攻撃パターンもおぼろげながら見えてきた。4月2日の本番初対戦まで攻撃陣を整えるだけだ。昨季大敗した甲子園での開幕前の試合は残り2戦。悪夢をキレイさっぱり断ちたい。【酒井俊作】