プロ野球が29日に開幕。野球好き歌手の河野万里奈が今季注目して欲しい選手をセ・リーグ各球団から2人ずつピックアップした。

「鳥谷様」と呼ぶほどに崇拝する阪神鳥谷敬内野手は殿堂入りとした。

◆広島島内颯太郎投手(22)

鯉のfirefighter。火消しの達人。大学までは先発だったが、リリーフ起用がドンピシャリ。オープン戦では6試合(計7回)無失点。最速154キロのストレートは力強くスピンが効いている。力感のないフォーム・涼しげな顔から繰り出される意外性が、数字以上の速さを感じさせる。新人王を目標に掲げるドラ2ルーキーは「勝利の方程式」となりカープを4連覇へ導けるか?!

◆広島床田寛樹投手(24)

トミー・ジョン手術から復活の3年目左腕。リハビリ期間中に15キロ増量で球速上昇・ツーシーム向上。球団が選ぶオープン戦MVP。3月5日の巨人戦では、広島のみならず関東版日刊スポーツ紙面で異例の1面掲載をされるほどの好投。岡田明丈投手と2人で「不思議ちゃん」ブラザーズ。昨年人生初のコンタクトレンズを作りクリアな視界を楽しんでいるらしいので、TOKODAユニホームを着て応援に行ったら見つけて喜んでもらえるかも。

◆ヤクルト近藤一樹投手(35)

涙なしでは語れない不屈の近鉄戦士。4度の手術、31歳での育成契約を乗り越え、昨季最優秀中継ぎ投手に輝く。プロ入り17年目にして初タイトルだった。ピンチでマウンドに上がることも多いが、きっと「投げられる喜び」を宝物のように胸に抱いている彼だから、観ていてハラハラ以上にワクワクする。野手の帰りを必ずベンチ前で出迎える。野球作法も含め、一度生で見るべき野球選手。

◆ヤクルト坂口智隆外野手兼一塁手(34)

彼もまた、しぶとく強い近鉄戦士だ。野球入門中の方が野球の良さを知るには、グッチを観ることが最も近道だと思う(河野調べ)。巧すぎるバットコントロール・水上バイクのようにズイズイ進む走塁は、職人芸の域。日本国宝に指定したい。ちなみにわたしはグッチが好きすぎて勝手に応援ソングを作った。グッチは高校時代ストリートミュージシャンだったと噂で聞いたので、いつかご本人に歌っていただきたい…。密かな夢だ。

◆巨人吉川尚輝内野手(24)

1年通して出場できたらゴールデングラブ賞獲得不可避。菊池涼介選手(広島)以上とも言われる広大な守備範囲。ファインプレーというと捕球のイメージが強いが、それ以上に、その後のスローイングの正確さたるやプログラミングが組み込まれているよう。アンドロイドかな? と思うほどに。一方で、グラウンド外ではシャイで謙虚でウィスパーボイス。守るのが巧いのに、ファンには「守りたい(母性本能)」と思わせる逸材。

◆巨人坂本勇人内野手(30)

これは提案だ。イケメンと名高いビジュアルは一旦忘れよう。ムチのようなスイング、ヒラメキのある走塁、ダンスのように軽やかな守備。ベストナイン4回、ゴールデングラブ賞2回。首位打者獲得は1回だが昨季.345をはじめ12年間常に2割後半~3割の打率キープ。当たり前になってしまった「坂本勇人」という素材の素晴らしさを、いま改めて、自分の五感でちゃんと味わって説明できるようになろう。薬味も創作も加えずに、そのままの蕎麦を口に含んでみよう。という、提案だ。

◆DeNA三嶋一輝投手(28)

溢れ出る色気。いつも流し目気味。昨季は本格的にリリーフ転向、どんな状況でも腕を振り続けた果てに勝ちパターンの一角を担い、自己最多の60試合登板で7勝(チーム2位)。奪三振率は過去最高をマーク。落ち着いた眼差しで今季に臨む。ウェットな浜風とともにマウンドに現れ、横浜スタジアムのY型照明塔に照らし出されるミッシーはとてもセクシーなので必見だ。

◆DeNAネフタリ・ソト内野手(30)

テスト生から本塁打王まで上り詰めたGod. 昨季は107試合で41本。1年通して出場したらどうなってしまうのかは最大の注目ポイント! 忘れられないのは、昨年9月27日。あの甲子園のライトポール際に流し打ちで叩き込んだホームラン。打たれた投手も「これを入れられるのか…」と言わんばかりの苦笑。本物のGod. わたしはソト選手が活躍するたびに「神は居た…」とツイートするのが日課だが、今年は忙しくなりそうな予感しかしない。

◆中日渡辺勝外野手(25)

一本足打法。王貞治氏を育てられた荒川博氏(故人)最後の弟子。足も速く、選球眼あり。育成ドラフト5位入団から、昨季のウエスタンでの活躍が認められてオフに支配下昇格。1軍キャンプに大抜擢と躍進中。1番センターで起用された3月17日のオープン戦では、マルチヒットで希望を感じさせた。祖父江大輔投手に通ずる「テルマエ・ロマエ」に出てきそうなクッキリとしたお顔立ちもオススメポイント。

◆中日笠原祥太郎投手(24)

経歴・性格ともに、「地味」と言われかねない。大学4年時に地元新潟で開催された日米大学野球では、柳裕也投手や京田陽太選手が出場するかたわら、スタンドで球拾いをしていた。そんな球場スタッフが、今や両選手も属するドラゴンズを背負う開幕投手だ! 人見知りでノンビリと優しいオーラが、マウンドではギュッと凝縮されエースの輪郭を描き出す。その変身ぶりは必見。かっこいい。止まって見えるチェンジアップはまさに魔球。

◆阪神北條史也内野手(24)

北條史也はヤル! 今なお、あえてそう言い切りたい。昨季62試合で打率.322と躍動した背中には「若虎」を脱皮した「一流野球選手」の威厳があった。昨年12月、FC会員限定のパーティーに参加したとき、クリスマスという浮かれるのが正解の日でさえ、明らかに悔しさが張り付いていた北條選手の表情は忘れられない。キャンプでも鬼気迫るものがあった。ルーキーの台頭で内野は戦場と化しているが、2019年北條史也はヤル! 北條選手の顔にそう書いてあった。ライバルともいえる鳥谷チルドレンでさえ、そう思わざるを得ない。

◆阪神西勇輝投手(28)

オリックスから移籍入団、5度の2ケタ勝利投手。パでは見られなかった打撃にも期待大。そして、西投手といえばカリスマインスタグラマー。チームメートの愛すべき裏側を発信してくれる。知ることは愛すること。愛のある応援はチームの力になるのではと感じる。ちなみに鳥谷チルドレン歴16年のわたしですら、鳥谷様がトマトをお嫌いなことを西投手の投稿で知った。感謝している。グラウンド上でもネット上でも目が離せない存在! 阪神に勝利だけでなく愛をもたらす存在!

◆殿堂入り:阪神鳥谷敬遊撃手(37)

ワクワク? 祈るように? 信じて? どんな感情で観るのが最適なのかは不明。安打製造が止まらないルーキー、前述の北條選手、そんなライバルたちの中で正遊撃手奪還に挑む鳥谷様を。ただ、先日神宮球場で鳥谷様を観たとき「いつも通りだな」と感じた。キャッチボールされる姿も、品のある柔らかい軌道の二塁打も。だからわたしも鳥谷チルドレンとして、例年通りできる限り多くの試合に足を運んで、そのお姿から喜びや哲学を吸収したい。今季というより「例年通り注目」なので「殿堂入り」とさせていただいた。一度必ず生で見てほしい選手なのは、間違いない。

【河野万里奈(かわの・まりな)プロフィル】

5月21日生まれ、福岡県出身の歌手。関西学院大出身。物心がついた頃から、夏休みは兵庫・尼崎市の祖母宅に行き、家族で甲子園球場に通っていた。選手にドはまりした最も古い記憶は、04年の佐野恵太選手(東海大甲府高)。中学時代、多感な時期の女子たちとのコミュニケーションに苦しんでいた時に、鳥谷敬(阪神)の存在を知る。言葉でなく背中で語る姿に救われて以来、「鳥谷様」と呼ぶほどに崇拝。自称「鳥谷チルドレン」。甲子園から応援していた選手が各球団に散っていくため、特定の球団を応援することができない。「NPB箱推し(全体を応援している、の意)」で、現在は週1のペースで各地の球場に足を運んでいる。

2010年、「第4回アニソングランプリ」で応募者総数1万189組の中からグランプリを獲得し、翌年アニメ『Aチャンネル』のOP曲「Morning Arch」でデビュー。作詞作曲、ライブパフォーマンスのインスピレーションは9割野球選手から受けている。SNSの投稿内容の割合は、歌:野球=2:8。とにかく脳内が野球に支配されている。ライブ中のMCでも野球トークを繰り広げるため、共演者や音楽ファンをしばしば困惑させるほど。選手への愛しさ余って勝手に応援歌を作りSNSに投稿しており、昨年は西武ライオンズの山賊打線をテーマにした曲「ライオンズアラート」がややバズって喜んだ。選手の登場曲を担当することが夢の一つ。いつか鳥谷様に、ここまで育ててくださったことのお礼を言うことも夢の一つ。148センチ、右投げ右打ち。

2019年5月、テイチクインペリアルレコードより再メジャーデビューが決定。

5月15日にニューシングル『真人間入門』リリース。5月19日にワンマンライブ開催。