メモリアル弾で勝負を決めた!! 楽天浅村栄斗内野手(28)が西武4回戦(楽天生命パーク)の5回、通算150号となる3号逆転3ランを左中間席にたたき込んだ。4番を務めてきた島内を故障で欠く中、開幕から不動の3番を打つ主砲が古巣西武から決勝弾。チーム通算900勝に王手をかける1勝で、リーグ10勝一番乗り。ソフトバンクが敗れたため、再び単独首位に躍り出た。

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夜空に高々と舞い上がった白球が、地元仙台のファンをヒートアップさせた。1点を追う5回2死一、二塁。浅村は西武本田の8球目、真ん中高め140キロ直球を振り切った。初速162キロ、角度25度ではじき返された打球は、2万5146人の大歓声とともに左中間スタンドに弾んだ。

逆転の3号決勝3ランで通算150号に到達した。9日西武戦(大宮)の場外弾でリーチをかけてから、6試合ぶりの1発。「最高です。まさか自分がここまで打てるとは思っていなかった。これからも上を目指して頑張ります」とうなずいた。

節目で勝負強さを発揮してきた。西武時代のプロ2年目、10年3月31日。ソフトバンク戦に代打でプロ初打席に立ち適時二塁打を放った。当時の渡辺監督や、大阪桐蔭の先輩でもある主砲中村から「あいつは持ってる」と一目置かれた。同年8月10日にプロ初本塁打をマーク。相手は楽天、場所はKスタ宮城(現楽天生命パーク)だった。あれから9年。クリムゾンレッドのユニホームで記念弾のボードを掲げると、古巣西武ナインからも拍手を送られた。「終わってみればそういう(古巣相手に打った)思いはあるけど、戦っている以上は勝たないと、という思いでした」。最後まで勝負に徹した。

4番不在の危機も救った。開幕から「つなぎの4番」として活躍した島内が、16日に受けた死球の影響でベンチ外。4番は前夜サヨナラ勝利のヒーローとなったウィーラーが座った。1番に好調の茂木、オコエが7番、不動の1番田中は9番に。周囲の打者はガラリと変わっても、3番浅村だけは不動のまま。平石監督も「ものすごく大きいね。何かやってくれるとベンチでも感じていました」と、リーグ10勝一番乗り、単独首位に導いたアーチをたたえた。浅村は「200本、300本と打てればいいですが、自分はホームランバッターじゃない。ヒットの延長。コツコツ頑張っていきます」と引き締めた。チームや状況が変わっても、この男の勝負強さは変わらない。【鈴木正章】

▼通算150本塁打=浅村(楽天) 17日の西武4回戦(楽天生命パーク)の5回、本田から今季3号を放って達成。プロ野球172人目。初本塁打は西武時代の10年8月10日の楽天14回戦(Kスタ宮城)で山村から。