阪神中谷将大外野手が勝利の夢を見させた。グッと握った拳を、三塁側ベンチに突き出した。波乱の神宮。背番号60が、二塁ベース上で大きく叫んだ。

「ああいう場面で打てて、本当によかった。きっかけになればと思う。次につなげていきたい」

8回に5点リードを追いつかれ、同点で迎えた延長12回1死一、二塁。代打コールされると燃えた。カウント1-1からの3球目だった。真ん中にきた142キロ直球を強振。打球は前進守備の左中間を割った。勝ち越しの2点タイムリー二塁打。東都の虎党を燃え上がらせた。

今季は得点圏で16打数5安打で打率3割1分3厘と勝負強さを発揮している。17年に20発を放ったが、ここ最近はベンチスタートも多い。だがベンチでその時に備えて集中力を研ぎ澄まし、結果につなげている。「いつもと変わらず、自分の場所で結果を残そうと準備していました」。

4時間53分の大激闘。12回裏に追いつかれて惜しくもヒーローになれなかったが、その一振りがあったから負けなかった。【真柴健】