原口とレギュラーの座を争った男が試合を決めた。阪神梅野隆太郎捕手(27)が交流戦で2年ぶり、2試合連続V弾となる5号ソロで勝利に導いた。

原口が1軍に昇格した中でも、正捕手として存在感を示した。梅野弾の不敗神話も昨季から10試合に伸ばした。

ひと振りで仕留めた。3-3の同点で迎えた5回1死。先発涌井の3球目、外角への144キロ直球をフルスイング。捉えた逆方向への打球は、ZOZOマリン特有の強風にも乗って今季から新設されたホームランラグーン席に飛び込んだ。「相手投手の一番いいボールの真っすぐを狙って打つことができた。しっかりコンパクトできた」。交流戦では17年6月11日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来、2年ぶりの1発だ。

9回は復活したライバルの一打をお膳立てした。無死から四球で出塁すると、高山の打席で二盗、三盗に成功。原口のタイムリーで生還した。「すごい大歓声で本塁に帰って来た時に涙目になりました。厳しいところからで、かっこよすぎる」。同じ捕手としてレギュラーを争ってきた仲間の復活に感極まり、お立ち台も2人で上がった。

「けがの功名」はコンパクトな左足の踏み込みを生んだ。4月2日巨人戦(東京ドーム)で左足薬指を骨折。それでも3割台後半を推移していた打率は、月が変わると2割台に落ち込んだ。転機は5月中旬。打席で自打球が左足を直撃すると心配する周囲を「当たったから、また打てるわ!」と笑い飛ばした。無理に踏み込めないから、体は前に突っ込まない。再びバットは快音を奏で、安定して3割台をキープしている。

矢野監督は「リュウ(梅野)もすごい。流れが行ったり来たりしているなかでの、あの1発やった」と称賛した。梅野が本塁打を打てば、今季は5戦全勝で、昨年6月27日DeNA戦(横浜)から10連勝だ。頼れる男の1発で、交流戦を最高の形でスタートした。【奥田隼人】