最後に投げた球は直球だった。「無心で投げたら、気がついたときにはキャッチャーが目の前にいた」。マウンドで歓喜の輪ができた。JR東日本の3番手、西田光汰投手(20)は冷静に勝利の瞬間を振り返った。

ピンチの場面でも、落ち着いて投げられた。1点リードの7回1死一塁で登板。相手を手玉に取るかのような笑顔を見せながら都市対抗代表を手にした。何度も練習試合でピンチの場面で投げてきた。そんな経験から得た自信が表情に表れた。「意識して笑顔になったわけではありません。自分には卓越したボールはない。ただ、ピンチの場面でも相手を見下すような気持ちで投げていました」と、試合後も笑顔で語った。

同い年の仲間の気持ちを受け継いだ。3回に3点を先制され、なお2死一、三塁で2番手に太田龍投手(20)が登板。ピンチを断ち切った。西田は「龍には普段の練習でまっすぐのコツを教えてもらったり、皆さんが思っているようなライバルという関係ではありません。仲間という意識が強いです」と打ち明けた。

堀井哲也監督(57)は開口一番「しんどかった」と口にした。太田、西田ら若手投手陣を「大会の中で成長していってくれた。プレッシャーのかかる中、若いながら経験を積めた。この経験を本大会につないでもらいたい」とねぎらった。

西田は「今年は、初戦を任せてもらうなど、監督から信頼をいただけたと思う。また、責任感やチームを引っ張らなくてはいけないという思いが芽生えた。昨年とは違い、甘えがなくなった」と、予選大会を振り返った。20歳コンビが見せた無失点リレー。都市対抗本戦も、気迫あふれるピッチングを見せる。