腰の違和感で戦列を離れていた巨人菅野智之投手(29)が、復帰初戦を白星で飾った。「日本生命セ・パ交流戦」ロッテ戦で、5月15日阪神戦以来、25日ぶりに先発。6回3安打2失点でリーグトップタイの6勝目を挙げた。

公式戦初コンビの炭谷の好リードに導かれ、打線も11得点とチーム一丸で援護。交流戦2カード連続勝ち越しを決めた。チームを支えるエースが周囲に支えられ、白星に感謝の思いを込めた。

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菅野はお立ち台の上から、周囲への感謝の思いを込めた。「自分だけの力だけじゃなくて、いろんな人の思い、協力をもらって、今日を迎えられた。本当に感謝しています」。腰の違和感で登録を抹消された19日間。状態が上がらず、不安や焦りとも闘った。それでも、多くの人に支えられ、復帰初戦で白星。スタンドで見守った母詠美さんは息子の姿に感極まった。

責任感の強さから、当初は最短10日での復帰を目指した。ジャイアンツ球場でのリハビリ中は「1分、1秒でも惜しいので」と練習開始2時間前に球場入りし、練習を始めた。練習後には病院でケア。酸素カプセルにも入って、少しでも回復を早める努力を重ねた。早期復帰を後押しするように、球団側もサポートを強化。腰の権威とされる医師の治療も受けた。

首脳陣からは復帰時期を任された。阪神戦が中止された5月28日の夜、宮本投手総合コーチから着信が入った。「本当にすみません」と謝罪すると「もう謝るな。どれだけ、ジャイアンツを背負って戦ってくれたんだ」と言われた。再び謝罪すると「100%になってから考えるから」と焦る気持ちを抑えるように諭された。

サポートを受け、たどり着いた復帰戦。チームメートから、強力な援護を受けた。打線が4回までに6点。守備では原監督から「智之の景色を変えてやってくれ」と公式戦で初コンビを組んだ炭谷に、全球種を絶妙に配したリードで支えられ、6回3安打2失点と好投した。

マウンドでは「その日その日のベストを尽くす」と試行錯誤を重ねながら、最善を求めた。2回からは無走者でもセットポジションで投球。プレートの位置も、三塁側から真ん中に変えた。「探り探りは覚悟してましたし、少しでもチームの力になりたいと思った」。次回予定は中6日で16日の日本ハム戦。挫折を乗り越えたエースが、チームを支える。【久保賢吾】