阪神大山悠輔内野手が6回に5試合ぶり、23打席ぶりの適時打を放った。2死二塁。山岡の2球目にアジャストした。

外角低め132キロスライダーを捉えると、打球は三遊間を抜けた。右拳を突き上げ、大山の見つめる先には矢野監督もガッツポーズしていた。拳と拳の“遠距離グータッチ”で喜びを分かちあっていた。

試合に出れば失敗もある。前だけを見る。守備では4回に悪送球を犯してしまい、今季13失策目。セ・ワーストの失策数だが、懸命にバットで取り返している。「4番三塁」のポジションを勝ち取るため-。心に誓っていることがある。「いつまでも糸井さんや孝介さんに頼ってばかりではいけない。しっかりとやっていかないといけないと思っています」。プロ3年目。主軸を任される立場になった大山は気持ちを強く持って打席に臨んでいる。

試合を決める一打でチームを波に乗せる。この日は9回に守護神ドリスが安定感を欠き、痛いサヨナラ負け。単独トップにはならなかったが、勝利打点6は広島鈴木、中日ビシエドらに並んでリーグトップ。得点圏打率は2割7分9厘と健闘している。

だが、矢野監督は6回の走塁を許さなかった。勝ち越し打を放った直後のプレーだ。福留がセカンドにゴロを放った際、二塁にスライディングしなかった。指揮官は試合後切り捨てた。

春先は好調だった大山だが、6月の打率は2割3分2厘で本塁打0とバットが湿っていた。タイトな試合展開だったが、ミスは取り返すしかない。【真柴健】