勝てば交流戦優勝の大一番で、巨人のエース菅野智之投手(29)がプロ最短の1回0/3で降板し、5年ぶりVを逃した。

1回に先頭打者本塁打を浴びると、2四球に内野安打2本、失策も絡み4失点。2回は先頭のソフトバンク和田に四球を出し、交代を告げられた。原辰徳監督(60)が「甲子園決勝」と称した決戦で、試合序盤に重い失点を重ねた。

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菅野が捕手炭谷のサインに首を振り、選択したのはカットボールだった。2回無死、3年ぶりに打席に立った9番の投手和田に対して制球が定まらない。フルカウントから、最もコントロールできると判断した決め球を内角低めに外し歩かせた。マウンドに集まる内野手からワンテンポ遅れ、原監督がベンチから歩み出ると、どよめきが起きた。

勝てば交流戦優勝の決戦で、わずか43球。プロ入り最短で降板を告げられた。

“甲子園決勝”と位置付けた原監督は「この一戦にかけるという部分から考えるならば、あそこは引きずることの方がはるかにおかしいことだと思うね僕は。先頭バッターにホームラン、フォアボール、フォアボール。リズムもへったくれもあったもんじゃないですね」と怒気を込めた。

1回に先制を許した直後、2四球と内野安打で1死満塁のピンチを招いた。遊撃内野安打に坂本勇の三塁悪送球が絡み2失点。さらにスクイズを決められた。指揮官は「立ち直りを期待したけれど、ピッチャーに対してフォアボール」と言い、続く問い掛けには「まあ、智之の件はこれぐらいでいいんじゃないですか」と自ら打ち切った。

菅野は、腰の違和感で25日間の離脱後、本来の調子を取り戻せていない。復帰後連勝はしたが、16日の日本ハム戦でも1回に3失点。「こういう機会をつくってくれたチームメート、ファンの方に申し訳ないです。しっかり結果として受け止めて、何とか打開しないといけない」と言った。

エースで5年ぶりVのストーリーは完結しなかったが、リーグ2位で入った交流戦で首位に浮上。広島に1・5ゲーム差を付けた。指揮官は「非常に戦えるチームになっている。あとはプレッシャーのかかる大一番に力を発揮できる選手を、数カ月の中でつくることが新たな課題として見つかった」と言った。ビッグゲームの敗戦を、終盤戦のしびれる試合に勝つための糧にしていく。【前田祐輔】