虎のドラフト1位が足で球宴伝説を作る! 「マイナビオールスターゲーム2019」(12日東京ドーム、13日甲子園)のファン投票の最終結果が24日、発表され、阪神近本光司外野手(24)が12球団の新人選手で唯一選出された。

自慢の快足を生かし、初球スチールを宣言。1試合4盗塁の球宴記録挑戦にも期待がかかる。

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夢の舞台でも、果敢にスタートを切る-。近本が自慢の快足披露へ強い決意をにじませた。12球団のルーキーでただ1人、ファン投票で選出。「まさか選ばれるとは思っていませんでした…。もしアウトでも全力疾走をして、投票してくれたファンの人に恥じないようなプレーを見せたい。盗塁だったり、内野安打で球場を驚かせられるようにしたい」。スター軍団の中で、自らの足跡を残すことを誓った。

シンデレラボーイだ。ちょうど1年前は、都市対抗で大阪ガスの一員として優勝に貢献。くしくも第1戦は同じ東京ドームが舞台。近本を全国区に押し上げたのは積極走塁にある。ここまでリーグ2位の18盗塁を記録。「せっかく選んで頂いたので、(初球から)走らないというのは選んだファンの人はガッカリしてしまう。結果がアウトにしても、セーフになっても、そこで走ることをやっていきたい」。シーズン同様に、初球からスチールを狙う。松井稼が97年に打ち立てた1試合4盗塁の球宴記録挑戦にも期待がかかる。

少年時代の思い出はやはり走塁にまつわる伝説だった。04年のオールスター。「新庄さんのホームスチールが印象に残っています。周りもすごい選手ばかりの中で、盗塁を決めることだったり、ホームランを打つこと、三振を取ることは、すごく難しいこと。その中でも魅せるプレーができるのが一流の選手。そういう風に、いずれはなっていかないといけない」。ルーキーだが、志は高い。一流への仲間入りへ、足でアピールする。

もちろん、後半戦への貴重な勉強の機会にする。「西武の秋山選手と話がしてみたい。走攻守すべてトップクラスですが、僕はとくに守備を深く聞いてみたい。山田哲人さんにも盗塁のことを聞いてみたい」と貪欲に“取材”することも宣言。「交流戦で三振を取られているので」と母校関学大の先輩である宮西へのリベンジも忘れなかった。

第2戦は本拠地甲子園で開催される。「何かの縁。しっかり自分のやるべきことをすれば、最終的に矢野監督がおっしゃるような『誰かを喜ばせる』ことができると思う」。選んでくれたファンのために-。初の球宴が近本伝説の第1章になる。【真柴健】

▼オールスターゲームでの1試合最多盗塁は、97年第1戦での松井稼頭央(西武)の4盗塁。シリーズ最多は同年の松井稼頭央の2試合で5盗塁。阪神の選手で、1シリーズで個人複数盗塁は94年の新庄(2盗塁=1、2戦1個ずつ)がいるが、1試合で複数盗塁を決めた選手はいない。近本ら阪神選手が盗塁すれば16年の高山以来で、もし1試合で個人2盗塁以上なら、球団新記録になる。