ソフトバンク和田毅投手(38)が、完全復活をアピールする快投で今季初の6連勝を導いた。左肩痛からの復帰後最長となる7回を投げ、4安打無四球0封で自身も2連勝。松坂世代の同学年、楽天平石洋介監督(39)の前で健在を示した。チームは2位楽天との首位攻防で2連勝を飾り、ゲーム差を4に広げた。

  ◇    ◇    ◇

心からのガッツポーズだ。両軍無得点だった7回にデスパイネの満塁弾が飛び出すと、和田はベンチの最前列で喜びを爆発させた。「すみません。年がいもなく、あんな喜び方して」。照れ笑いで振り返ったが、勝利をもたらしたのは間違いなく和田の投球だった。

楽天岸との投げ合いは1点を争う投手戦になった。左肩の故障から復帰後初めて、7回のマウンドにも立った。「徐々に疲れはきていましたけど、6回が終わった時点で『次がラスト』と言われたので。全力で抑える、0で帰ってくるつもりでいきました」。4番ブラッシュからの打順だったが、3人でピシャリ。7回0封の直後に飛び出したのが主砲の決勝弾だった。本拠地ヤフオクドームで勝つのは17年8月27日以来で、約2年ぶりのお帰りピッチとなった。

前回登板の6月23日巨人戦に続く2連勝だ。「(復帰後)1、2戦目と3、4戦目では投げている感覚もボールの質も違う。こういうピッチングが毎試合できたら、チームに勝ちを持ってこられる」。この日は「しっかり抑えている姿を見せたい」と話していた同学年、楽天平石監督の前で元気な姿を見せられた。

長いリハビリでも、昨年と今年では悩みの意味が違った。「今年は肩の痛みで悩むことはなかった。投手として、どうやれば球の質が上がるか。1軍に上がれるか。そういう悩みだった」。1年以上、和田の球を受け続けた笹沼リハビリ担当ブルペン捕手も「昨年は何かがだめだと1週間投げないこともあった。今年は『今日だめでも明日良ければいい。逆にここを変えてみようか』と前向きでした」と変化を感じていた。

6月に1軍昇格してからは、大好きな芋焼酎を飲まなくなった。和田の掲げる理想は中6日でローテを守り、シーズン最後まで戦い抜くこと。だからこそ、強い責任感で好物を断っている。

チームは今季初6連勝で2位楽天に4ゲーム差をつけた。工藤監督も「すばらしい投球。見とれて見ていました」とたたえる快投だった。【山本大地】