日本ハム中田翔内野手(30)が、豪快なアーチで勝利をたぐり寄せた。楽天13回戦(楽天生命パーク)の4回無死一塁。左腕塩見から、左中間席中段に飛び込む決勝の17号2ランを放った。15年以来となる年間30本塁打ペースで、7月に入って打率も上昇。チームは2カード連続で3連戦の初戦をものにした。

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豪快にバットを振り上げ、夜空に伸びていく打球を見上げた。中田が放った会心の一打は、敵地ファンの悲鳴とともに左中間席に突き刺さった。9連戦の、まっただ中。札幌から仙台へ、移動ゲームに疲労感をにじませ「こうやって勝ったので良かった」とホッとした表情を見せた。

緊迫した投手戦に、一振りで風穴をあけた。0-0で迎えた4回無死一塁。「積極的にどんどん行こうという考えがあった」。カウント1-1からの3球目、真ん中に浮いた「完璧な抜けフォーク」を強振した。立ち上がりから抜群の制球を見せていた楽天塩見の失投を見逃さず、気持ちの良いフルスイングで先制点をたたきだした。立派な4番の仕事ぶりに、栗山監督は「最近、安定している。先に(点を)欲しいと思っていたので良かった」と感謝した。

主将2年目を迎え、後輩へのさりげない気遣いが目につくようになった。6月29日ソフトバンク戦(札幌ドーム)では、不振に悩む高卒2年目の清宮に、自身のバットを貸し出した。今月4日にも、練習中に話し相手になった。

中田 苦しんでいる姿は、僕も痛いほど分かる。いや、僕の方がもっと苦しい思いはしているけどね。気晴らしじゃないけど(先輩と話をすることで)いい意味でリラックスできることも僕自身はあったので。

主将として「誰が打った、投げたではなく、みんなで勝ちに行く姿勢を見せていくことが必要」と、チームの“和”を大切に、一体感を求める。

チームは泥沼の6連敗を脱し、7月に入ってからは3勝1敗と勢いが出てきた。中田も7月の4試合で打率3割7分5厘。「順位もまだまだだし、僅差のうちに早く追い上げないと。今が正念場。そういうことをみんなで共感しながら、頑張っていきたい」。反攻の夏が、始まる。【中島宙恵】