中日柳裕也投手(25)がチームの4連敗だけでなく、「お前騒動」にも終止符を打った。ハーラートップタイの9勝目。お立ち台でヒーローが呼びかけた一言は、本拠地を埋めたファンから喝采と笑いで受け入れられた。

「最近、いろいろありましたが、今日の勝利をきっかけに、チームとファンが1つになってがんばりましょう」。

7月から球団を巻き込んだ「お前騒動」。与田監督の公式応援団応援歌「サウスポー」への歌詞変更依頼が発端だった。「お前」を選手名に変える依頼が、インターネットだけでなく、ワイドショーにまで飛び火した。そんな騒動後に連敗が続く重苦しいムードを、柳が堂々の投球で振り払った。

初回こそ、山田哲に先頭打者本塁打を被弾した。不安定な立ち上がりだったが、打線の大量援護を受けてリズムに乗った。8回8安打1失点。今季6度目となるチームの連敗ストッパー役も果たした。

「ブルペンから調子が悪かった。全部ダメだった。チームが連敗中で、迷惑はかけられない。こういう日に8回1失点で抑えられたのはいい経験になった」。柳は自らの成長を感じ取っていた。広島大瀬良、DeNA今永、竜の先輩左腕大野雄、ソフトバンク千賀の球界を代表する投手たちに続き、今季100投球回を3年目で初めて突き破った。

「(お前問題については)僕の口からは言えませんが…。いろいろ良かったです」。竜に7月の1勝目を運んだ右腕は、苦笑いで会見を締めた。【伊東大介】