明日への光だ! 広島の4番鈴木誠也外野手(24)に待望の1発が飛び出した。2点を追う4回、左中間最深部に弾丸ライナーで19号ソロを突き刺した。だが14試合ぶりの1発も空砲に終わり、広島は5年ぶりに9連敗を喫した。敗戦の中、4番の1発がチームに希望の光をともした。

   ◇   ◇   ◇

着弾を確認しても、鈴木は走るペースを落とさず、うつむき気味にダイヤモンドを一周した。2点を追う4回。カウント2-2から中日山井の真っすぐを捉えた。左中間に伸びる弾道はそのままスタンドに飛び込んだ。6月20日のロッテ戦以来、実に57打席ぶりの19号ソロだった。

試合中は広報を通して「追い込まれていたのでコンパクトにいきました」と談話を出した。だが、試合後は自分のことをあまり語ろうとはしなかった。「僕のことは…。打っても勝たないと意味がない。もっと早い段階で打たないといけなかった」。久しぶりの1発にも、チームの9連敗に悔しさしかなかった。

4番の打点が42打席ぶりという数字が、広島打線の苦しさを物語る。連敗中は毎日のように打順が変わり、鈴木を挟む中軸の顔ぶれも替わる。難しさはある。この日は開幕からともに打線を支えてきた菊池涼がベンチ外。4月28日ヤクルト戦から4番に固定されている主砲として何とか連敗を止めたかった。「ミスがあって負けているのなら、それをしないようにしないといけないと思えるが、そういうのは出ていない。(勝てない理由の)1つは打てていない」。ただ、1回は無死から先頭野間が出塁しながら、送りバントの構えすらなく二直で併殺。4番の前に走者をためたり、得点圏に進めたりできていないチームの課題も残る。

広島の連敗は5年ぶりに9まで伸びた。だが4番の待望の1発は明日への光。迎打撃コーチは「こうやって1本出たのはきっかけというか、何か感じるものがあれば」と期待した。政権下ワーストの連敗を更新する緒方監督も「最後まで粘り強く諦めて戦っていけば結果につながる」と懸命に前を向いた。残り2試合、後半戦につながる内容と結果を出したい。【前原淳】