警戒されても、初球から決めた。阪神近本光司外野手(24)の勢いが止まらない。

初回に先頭で中前打を放つと、すかさずスタートを切った。果敢に滑り込み、セーフの判定。虎の新人では20盗塁到達は01年の赤星以来だ。

どんな相手が来ても、平常心で臨むのが近本流だ。人生で初めて「平成の怪物」と対決。試合前に「偉大なピッチャーなので、しっかり勝負を楽しみたいですね」と話していたが「試合に入れば野球に集中するだけなので…」と、偉大な投手が令和初登板しても、ドラフト1位ルーキーには関係なかった。そんな松坂から2打席連続でヒットを放ち、5回には死球を受けて3打席連続出塁。トップバッターとしての役割を、きっちりと果たした。

試合後には、理想の先制攻撃ができたか? という報道陣からの問いかけに「はい…」と、敗戦に言葉は少なかった。新人ながら、すでに虎にいなければならない存在となった近本。バットでも、足でも、チームに必要不可欠なのは間違いない。前だけを見て、思い切って走る近本が、虎を勢いづける。【真柴健】