虎の4番がお目覚めだ。阪神大山悠輔内野手(24)が今季初の4安打と暴れ回った。2回、先頭で打席に立つと2ボールから中日阿知羅の低め直球をフルスイング。黄色く染まった左翼席上段へ。6月19日楽天戦の第1打席以来、実に76打席ぶりのアーチを突き刺した。シーズン自己最多タイの先制11号ソロを「しっかりと自分の間合いでスイングすることを意識していました」と振り返った。

17試合本塁打から遠ざかっていただけでなく、打点を挙げたのも7日広島戦以来、6試合ぶり。後半戦2試合無安打の発進だったが、苦しんでいた男は、ここから打ちまくった。

3回には2死一塁から左前にポトリと落ちるラッキー二塁打で出塁。5回には1死一、二塁から直球を左翼前に運ぶタイムリー。7回にも中前打と打ち出の小づち状態で全4打席出塁した。あと三塁打でサイクルという暴れっぷりだった。

試合前だった。打撃練習を終えると矢野監督に呼び止められた。目の前に立っていたのは中日、楽天などで活躍した山崎武司氏(50)だ。3人で話し込むこと約5分間。伝授されたのは「右の大砲の心構え」だ。通算403本塁打の同氏は「インコースに詰まることを怖がっていたら打撃にならない。俺も通ってきた道」と身ぶり手ぶりで説明。レジェンドから大事な金言をもらった。

上昇の気配が漂う。6月に月間2割4分2厘と落ち込んでいた打率も、7月は同3割5分7厘と急上昇。安打数はリーグトップの巨人坂本勇にあと5本に迫る同4位タイの97安打だ。大山は「負けたので、すべてはそこです」と多くを語ることはなかったが、矢野監督は「(良くても悪くても)どっちでも言われる打順。そこで成長していけるところを期待したいな」と背中を押す。屈辱の6連敗となった豊橋の夜。活気づいた4番のバットがせめてもの救いだ。【桝井聡】

▼大山の猛打賞は今季5度目で、1試合4安打は18年9月16日DeNA戦6安打、同29日中日戦4安打に続き、プロ3度目となった。