広島野村祐輔投手(30)が22日、マツダスタジアムで行われた投手練習で1カ月半ぶりに1軍合流した。

今季の3勝を全て挙げた中日相手に25日に先発する見込みだ。2軍では直球に磨きをかけ、最大の武器である制球力の威力も増した。緒方監督が後半戦のキーマンに挙げる右腕に、上昇気配のチームをさらに勢いづかせる期待がかかる。

   ◇   ◇   ◇

先発の柱と期待された右腕が、1カ月半ぶりに1軍に帰ってきた。ランニング中に突然強くなった雨を気にすることなく、野村は25日の中日戦に向けて黙々と調整を続けた。16年に投手2冠を獲得した8年目の中堅だが、開幕から勝ち星が伸びず6月12日に2軍降格。再調整を続けてきた。

「自分自身悔しかったですし、チームの力になれなくて残念な気持ち。これから自分のできることをしっかりとやり切りたいと思います」

前半戦終了時に緒方監督から後半戦のキーマンの1人に野村の名前が挙がった。「言ってもらえるとありがたい。前半戦1カ月以上、力になれなかった。何とか後半戦しっかりできるように頑張りたい」。巻き返しを期すチームの輪に、自身も加わりたいところだ。

1軍から離れ、原点に立ち返った。投球の軸となる直球の球質向上に努めた。フォームだけでなく、体の使い方やバランスを徹底的に見つめ直した。「力強いストレートをもう1度投げられるように。1カ月ほどかかりましたけど、しっかり形にしたいなと思います」。直球の力強さが戻ってこそ、最大の武器である制球力も生きてくる。

2軍降格後すぐにウエスタン・リーグで完封勝利を挙げながら、その後も2軍で2試合に先発。中でも2日の同中日戦での5回5失点を収穫に挙げた。「気づけないところに気づけたところは良かった」。中学以来、プロ入り初の地元倉敷での登板となった15日の同阪神戦での7回2失点で最終仕上げとした。

広島は首位巨人に3連勝して上昇気配にある。そこに実績ある右腕が加われば、勢いは加速する。「倉敷でも納得のいく球を投げられていた。あとはしっかり結果を残せるように」。今季3勝すべてが中日戦。求められるのは、結果のみ。野村が期待と覚悟を抱き、後半戦初の1軍マウンドに上がる。【前原淳】