広島三好匠内野手(26)が移籍後初本塁打となる1号先制2ランを放った。「7番三塁」で先発。2回に2年ぶりの1発を左翼席にたたき込み、打線を勢いづけた。7回には際どいコースを見極めて押し出し四球を選んだ。1試合3打点の活躍で、2桁安打2桁得点の大勝に貢献。チームは6連勝とし、勝率5割に復帰した。

マツダスタジアムに「最高でーす!」の叫びが響いた。お立ち台には少し照れくさそうに笑う三好の姿があった。移籍後4試合目のスタメン起用に、バットで応えた。2回1死一塁で中日先発ロメロの150キロを捉えて左翼席に運んだ。「ストレートにしっかりとタイミングを合わせて自分のスイングで振り抜くことが出来ました」。広島ファンの歓声を受けながらダイヤモンドを一周すると、チームメートから迎えられた。「みんな元気。一体感がある」。2年ぶり1発の喜びは、格別だった。

2日に楽天からトレードで加入した。遠征先では食事のオファーが相次いだ。初遠征となった名古屋では会沢に誘われ、「今チャンスだから思い切ってやれよ」と背中を押された。その後も同世代の野間や松山など、連日のようにチームメートとの時間を共有。名字にちなみ、広島県北の三次(みよし)市の特産品のぶどうと同じ「ピオーネ」というニックネームはあまり浸透しなかったようだが、三好自身はチームに着実になじんでいった。

先制弾の後は2打席で二ゴロも、7回1死満塁では際どいコースをきっちり見極めて押し出し四球。貴重な中押し点を奪った。慣れない三塁守備でも投手に安心感を与えるグラブさばきとスローイングでもり立てた。緒方監督も「渋いね。落ち着いて打席に立って、ベテランの雰囲気を出すからね、若いのに」とうなった。先輩から言葉をかけられた通り、チャンスが目の前に広がっている。「守りは買ってもらっているので、打つ方でも結果を残したい」。6連勝で勝率5割復帰。上昇気流に乗ったチームに、新星がさらなる刺激を与えている。【前原淳】