甲子園95周年を迎えた1日に、もう1人の「甲子園男」が大きな1発を放った。阪神北條史也内野手(25)が1点を追う5回に同点の3号ソロ。この日、今季初先発した同い年の藤浪晋太郎投手(25)の黒星を消し、チームの勝ち越しを呼び込んだ。カード勝ち越しを決め、自力優勝の可能性が復活した。

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甲子園の記念日に打ち上げた祝砲は、高校時代のライバルを救う1発となった。1点を追う5回1死。北條が先発左腕ロメロの外角高め140キロ直球を振り抜いた。夏の夜空に舞い上がった打球は、左翼席に飛び込む同点の3号ソロ。「前の打席(二飛)が悔しかったので、何とかしたいという思いでした」。内外野を守れるソラーテが加入し、ポジション争いは激化。4戦ぶりに「8番遊撃」で巡ってきたスタメン起用をものにした。

甲子園が95周年の節目を迎えたこの日。先発は299日ぶりの1軍マウンドとなった藤浪だった。高校時代、北條は光星学院(現八戸学院光星)で藤浪ととともに聖地を沸かせた。「アマチュア時代から結構、試合をしているので甲子園のイメージは強くあります」。12年夏、藤浪擁する大阪桐蔭が春夏連覇を成し遂げた相手はいずれも光星学院だった。「1人しかいない同期(入団)で同級生。マウンドを降りるのが早かったなと思って見てたんですけど、その次の回に負けを消せてよかったです」。一振りで右腕の負けを帳消しにした。思い出深いグラウンドでプロとなった今、今度はチームメートとして援護した。

矢野監督は殊勲打の北條に「ジョー(北條)自身が自分に必死だと思う。チャンスが多くない中で、いつもすべてに関して。そういう選手が結果を出すのはチームにとっても大きい」とたたえた。長期ロード突入前の一戦を制し、カード勝ち越し。首位巨人が負けたため、自力優勝の可能性も復活した。北條にとって、得意の季節がやってきた。昨年の7、8月は160打数52安打で打率3割2分5厘と好成績を残した。今季最多の4人が上がったお立ち台で、背番号2は「これからもロードが続くのですが、ビジターでも熱いご声援よろしくお願いします!」と叫んだ。勝負のロードで、北條がチームをもり立てる。【奥田隼人】

▼北條と甲子園 青森・光星学院時代は、1年からベンチ入りし、2年春、夏、3年春、夏と4季連続甲子園に出場。3年春と夏は、現チームメートの藤浪擁する大阪桐蔭と決勝で対戦して敗れるなど、3季連続準優勝だった。しかし、3年夏は初戦の遊学館(石川)戦でバックスクリーンへ甲子園1号をたたき込み、神村学園(鹿児島)戦でも左翼へ1発。さらに準決勝の東海大甲府(山梨)戦ではバックスクリーンへ2発を放った。甲子園通算は17試合で打率3割7分9厘、4本塁打、29打点。