ソフトバンクを支える人々にスポットライトを当て、随時掲載する「支えタカとよ」。今回はグラウンド上の演出を管理する森裕美さん(43)です。

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選手と同じ「チャンピオン奪Sh!ブルー」ユニホームで球場全体が水色になる「鷹の祭典」。その中で1人真っ黒なビジターユニホーム姿の女性が森さん。ビジョン用カメラマンなどが探しやすいためという。

今季で8年目、DJツバサとのコンビは6年目となる。スタメン発表の際、ツバサが「1番、センターフィールダー、牧原大成、福岡県久留米市出身!」と大声で叫ぶと、隣にいる森さんが次の打者を紹介するタイミングで背中をポンッとたたく。ツバサが持っている用紙は森さんが準備。「柳田選手をやなぎだと読み間違えないために、全部ひらがなで『やなぎた・ゆうき』と書いています」と説明する。

両チームのシートノックが終了して試合開始までの時間が、森さんが一番本領を発揮する舞台。客を盛り上げようとチアのダンス、始球式や、子どもたちが守備位置につくオンユアマークスなど演出は盛りだくさん。それでも森さんは「定刻通りに試合が始まることに一番こだわっています。選手のみなさんは午後6時開始なら、そこへコンディションを合わせている。こちら(演出)で遅れてリズムを崩したくないですから」と強い意志を持って、ストップウオッチ片手に定刻までのイベント時間を早めたり延ばしたりと、タイムスケジュールを切り貼りしていく。

小さい子がマイクの前でなかなかしゃべることができなかった場合は「せっかくの思い出なので」とツバサと2人ギリギリで待ち、ほかで時間を稼いで取り戻す。タレントが始球式でムダな動きをしそうだと思えば早めにマウンドへ連れて行く。「5秒過ぎても午後6時1分開始になる。その5秒が悔しいんですよ」。今季ここまでヤフオクドームでは46試合が開催され、1分遅れはわずか4試合。それ以上はない。「先発投手が精神統一するなど今までにない動きをして、時間がかかったなと思えば、次にその投手が登板する時にはその分を早めます」。先発投手のしぐさ、投球間のテンポなどの時間も頭に焼き付ける。公式記録員が「試合開始は(午後)6時ちょうど」とアナウンスする瞬間が、喜びだ。年々、ビジョンも含め演出は派手になり続けているが、選手ファーストで森さんは定刻プレーボールにこだわりつづける。【石橋隆雄】

◆森裕美(もり・ひろみ)福岡県出身の43歳。普段はフリーでイベントの仕事をしている。12年から現在のグラウンド演出管理の仕事も行う。試合中はスタンドインタビューなどのセッティングも行う。

▽ヤフオクドーム・スタジアムDJツバサ かゆいところに手が届くと言うか、いつも的確な指示で助けてもらっています。今、僕が何の情報がほしいかをわかって教えてくれる。ありがたいです。