矢野阪神が打てず、抑えられずで最下位ヤクルトに連敗し、長期ロード2カード連続負け越し発進となった。

先発青柳が5回6失点と崩れて流れを渡すと、打線も2回のマルテの先制ソロの後は反発力を喪失。終わってみれば2-11の大敗を喫した。8日にも3度目の自力V消滅危機で、3位広島との5・5差も縮まらず、残り40試合、正念場だ。

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マウンドの青柳はぼうぜん自失だった。1-1で迎えた4回1死一、三塁。6番村上への初球ツーシームは梅野が外角に構えたミットとは逆の内角へ。ヤクルトの若き大砲に待ってました! とばかりに右翼席に運ばれた。痛恨の3ラン…。その後も8番奥村に中越え適時二塁打を浴びてさらに失点。5回は押し出し四球を与えるなど独り相撲のマウンドに、悔しさがにじんだ。

「自分の技術不足ということですね。自分のコントロールが、狙ったところで甘く入ったり、狙いすぎて四球になったり、実力不足ですね」

課題を克服できない。この日のツバメ打線には投手石川を含め、9人中7人の左打者が並んだ。青柳は対右打者を2割7厘と封じている一方、左打者は3割3分7厘。開幕からFA加入の西とともに先発ローテーションを守ってきた右腕だが、6月12日ソフトバンク戦を最後に勝ち星がなく壁にぶち当たっている。

メッセンジャーの離脱などもあって先発は駒不足。直近20試合で勝ち星が付いた先発は西1人だけだ。青柳について「取られ方が悪い」と渋い表情を浮かべた矢野監督も今後の処遇については「ちょっと今すぐには言えない。先発陣も苦しんでね」と思案顔。簡単には出場選手登録を抹消できない事情がある。

援護するはずの打線も早くも夏バテ気味だ。2回にマルテが先制の10号ソロを放つもエンジンがかからない。試合終盤の8回に3番手五十嵐を攻め立てて1点をもぎ取るのがやっとの状況。糸井、大山、福留のクリーンアップが合わせて10打数ノーヒットと攻撃の核が機能しなかった。

重要な真夏の9連戦のはずだが、そのスタートで最下位チームに連敗。今季ワーストタイの借金6を抱えてしまった。8日も敗れて首位巨人が引き分け以上なら、三たび自力Vの可能性が消滅する危機的状況だ。矢野監督は「苦しい状況であることは間違いない。でも、はね返すしかないと思う」とファイティングポーズを崩さなかった。負のスパイラルを何とか断ち切りたい。【桝井聡】