巨人坂本勇人内野手(30)が、10年にマークした自己最多に並ぶ31号決勝ソロでチームを3連勝に導いた。2戦連続で試合前練習を“別メニュー調整”した主将が、2戦連続弾で打線をけん引。打線の火付け役を担い、ヤクルトをねじ伏せた。首位独走から後半戦の失速で大混戦と化したペナントレース。主将が勝負どころで別格の存在感を示した。

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坂本勇が悠然と周回した。1回1死。ヤクルト星の外角直球を捉え、押し込んだ。あごを引き、一拍置いて、打球の行方を確認。右中間席前列に自己最多タイの31号先制ソロを放り込んだ。前夜の大逆転サヨナラ勝ちの勢いを継続させる1発に「狙い打ちです」としてやったり。30号の大台到達から間髪入れず、2戦連続アーチを描いてみせた。

秘密の? “コソ練”が好結果をもたらしているのか。2日続けて試合前の練習でグラウンドには姿を見せず、バックヤードにこもった。練習の詳細については「1000スイングぐらいやって、走り回ってます」とニヤリ。原監督も「自分のコンディショニングは自分でよく知ってる人ですから、その辺のところはしっかり任せています」とした上で「裏でガンガン打ってる。小さな鳥かごの中でね」と明かした。

プロ13年目、31歳を迎える。老け込むにはまだまだ早いが「20代のころとは体も違いますし、その辺の意識は年々変わっています」。わずかな行動が習慣として染みついてきた。

5月中旬の名古屋遠征中に夕食に出かけた。栄養バランスを意識した和食系のメニューで胃袋を満たすと、帰り道でホテル到着前にタクシーを降りた。「少し歩きたいなと思ったので。体を動かさないと固まっちゃいますから」と名古屋城のお堀周辺を約15分間、散歩してから帰路についた。

遊撃手としてセンターラインの中枢を担い、体力の消耗は計り知れない。開幕から全103試合に出場。主将として攻守でチームをけん引し続けている。首位を守るも、苦境に立たされたチームを7カードぶりの勝ち越し、後半戦初の3連勝で再浮上させた。打線も息を吹き返し「なかなか継続できるものじゃないけど、みんなでカバーし合いながらやっていきたい」。大混戦を恐れることなく王道を突き進む。【為田聡史】