阪神が矢野燿大監督(50)に続投要請を行ったことが11日、分かった。前半を終えた7月の時点で、藤原崇起オーナー(67=電鉄本社会長)が続投を明言していたが、指揮官本人に正式に伝えたもの。来季が3年契約2年目で続投は既定路線だが、球団の全面支援が改めて確認された。2人はこの日の広島戦前に京セラドーム大阪で会談。残り試合も攻撃的に戦っていく意思を確認し合い、2夜連続の逆転勝ちにつなげた。

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終盤の逆転劇を見届けた藤原オーナーは、いつになく上機嫌だった。「攻撃が一番の防御だということがよく分かりました。粘って粘って時期を待つ。そして果敢に攻めた。みんな素晴らしかったです。もうみんな良かった。お盆前にバンザイです」。顔は上気し、その言葉は喜びに満ちていた。

2夜連続のドラマ的勝利を挙げた試合。そのプレーボール直前に虎の総帥は、矢野監督と30分近い会談を実施した。「攻撃をしよう、と。みんなで攻撃していこう、と。そういうことです」。この試合を終えても首位巨人とは8ゲーム差、CS圏内である3位広島とも4・5ゲーム差がある。正念場だからこそ、「攻めダルマ」になって上を目指そうと確認し合った。意を受けた矢野監督も、2番に今季初めて高山を入れるなど攻撃オーダーを編成。3点ビハインドでも諦めず、代打攻勢を仕掛けて有言実行の逆転劇を演出した。

すでに来季の続投要請をしていることも判明した。藤原オーナーは前半戦を終えた7月11日に「そら、当然そういうことですよ」と続投方針を明言。3年契約の来季2年目も指揮を執ることが確実になっていた。活躍を続けるルーキー近本の抜てきや若手投手など積極的に起用。ガッツポーズ導入で明るい雰囲気をつくった手腕も高く評価。既定路線ではあるが、この日までに正式に続投を要請した模様だ。

矢野監督もその思いに全力で応える覚悟だ。「ええ時もあかん時もあるけど、そういうときに前を向いて。俺らもやっていくしかないという話をした。『矢野さんの思うようにやってくれたら』と言ってもらえた。思い切ってやっていきたいと思います」。残り36試合で、CS圏内の3位に4・5ゲーム差。総帥の力強いバックアップを受けて大逆襲を期す。