山賊が混沌(こんとん)の一戦を制し2位を堅守した。西武オリックス19回戦(メットライフドーム)は、4回表に死球をめぐる乱闘騒ぎが勃発して警告試合に。西武中村剛也内野手(35)がその裏、得意の満塁機で走者一掃の3点適時二塁打を放ち、嫌なムードを打ち払った。チームは6試合連続の2ケタ安打で4連勝。貯金を今季最多の5とした。

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「満塁男」が試合を決めた。3点リードの4回2死満塁、中村が、オリックス吉田一の直球を完璧にはじき返した。左中間を破る適時二塁打で3点を追加して流れを引き戻し「打ててよかったです」。乱闘の余韻が残る中、いつも通り淡々と振り返った。今季、満塁では25打数12安打、2本塁打で34打点。無類の強さを発揮している。

初回からリードを奪ったが、嫌な試合展開だった。4回2死満塁で、2番手森脇がオリックス若月に押し出しの死球を与えた。この日、チーム3つめとなる死球に若月が怒り、マウンドへ歩き出すと、一塁コーチスボックスから佐竹コーチが、それより先にマウンドの森脇に詰め寄り、両手で胸を突いた。これをきっかけに両軍入り乱れての乱闘騒ぎに発展。佐竹コーチは退場処分となり、警告試合が宣告された。初回に本塁打を放った二塁手外崎も間近の乱闘に“参戦”。「ああいう本格的なのは初めて。体が接触して正直怖かった」と振り返った。同カードでは前回対戦となった4日(京セラドーム大阪)でも、オリックス竹安が西武岡田に死球を与え、乱闘寸前の騒ぎとなっており、この日も序盤から不穏な空気が漂った。

強打で混戦を制した辻監督は「中村に関しては満塁で驚異的な強さ。期待していたところで打ってくれた」と納得の表情。一方で4死球を与えた投手陣には「プロとして恥ずかしいし申し訳ない。かと言って明日からそこに投げられないようでは抑えられない。投手陣には強く言っておくよ」とピシャリ。警告試合宣告後の死球を含め、両軍合わせて3人が退場する波乱の試合展開に、複雑な表情だった。【鈴木正章】

▽西武栗山(乱闘騒ぎで珍しく怒りをあらわ)「特にコメントするようなことはないですよ」

▽西武駒月(8年目でプロ初安打となる内野安打)「時間がかかりましたが本当によかったです。ホッとしています。どんな形であれHのランプがついて、とてもうれしいです」