思い切った「勝負手」も、勝利にはつながらなかった。日本ハム栗山英樹監督(58)は、ロッテ18回戦(東京ドーム)で、4番に初めて高卒2年目の清宮幸太郎内野手(20)を起用。1回に渡辺諒内野手(24)の右前適時打で先制し、4回には清宮も4番初安打を記録したが、終盤に逆転負け。今季ワーストの7連敗で、最大「10」あった貯金をすべてはき出した。

悔しさを、ぐっと押し殺した。プロ初の大役を終えた清宮の表情は、複雑だった。「いろいろ、思うところはありました。明日は練習から、しっかり意識してできたら」。出場102試合目で訪れた、初の4番スタメン起用。3打数1安打でチームは逆転負けという結果に、とうてい満足できなかった。

この日、主将で4番の中田が、故障で出場選手登録を抹消された。代役として期待されたのが、20歳の大砲。栗山監督は「昨日から決めていた」と、連敗脱出のキーマンとして抜てきした。

1点リードの4回、外角低めの147キロ直球を左前に転がし「4番初安打」で出塁したが、追加点の大チャンスだった5回2死一、二塁では、変化球を引っかけて遊ゴロに倒れた。「4番はチームの顔。チャンスで多く(打席が)回って来るので責任重大だけど、やることは変わらない。普段と同じように臨めた」と振り返った清宮だったが、表情はさえなかった。

指揮官は「試合前に『(4番は)チームを勝たせないと』と伝えたけど、勝たなかったんだから、うまくいかなかったということ。本人が、悔しくて悔しくて、練習以外でも努力して、足りないものを自分で補って前に進むしかない。4打席本塁打すれば、チームは勝つんだから」と、厳しい言葉を並べた。近未来の4番として、脱皮が期待される清宮は「すごく大切な時なので、中田さんの代わり以上の働きをしたい。なんとかカバーできれば」。自覚は十分だ。

今季ワーストの7連敗で、約2週間前には最大「10」あった貯金をはき出した。栗山監督は「ゼロから、我々は何ができるのか。もう1度、命懸けで考えます」。14日には高卒ルーキー万波を1軍に緊急昇格し、第2手を打つ予定。若い力で、窮地を脱する。【中島宙恵】

▼日本ハム清宮がプロ入り初の4番で出場。高卒2年目までに4番で出場したのは、球団では東映時代の60年張本勲以来。中田が初めて4番出場したのは4年目、大谷は5年目だった。