ソフトバンク千賀滉大投手(26)が史上80人目、育成選手では初のノーヒットノーランを達成した。ヤフオクドームでのロッテ戦で許した走者は四死球の4人だけ。球団では1943年(昭18)の別所昭(後の毅彦)以来、76年ぶり2人目の快挙だ。自身3連敗中だったが、茶髪を黒に染め直して復活の12勝目。西武が勝って優勝マジック点灯は再びお預けとなったが、リーグV奪回と3年連続日本一へ最高の弾みをつけた。

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千賀が渾身(こんしん)のガッツポーズをつくった。9回1死一、三塁のピンチを招いたが、中村奨を二飛。最後の打者井上は空振り三振に斬った。育成出身選手史上初のノーヒットノーランを達成。ヤフオクドームを歓喜の渦に導いた。

チーム4連勝の流れをエースが止めるわけにはいかなかった。3連敗中の右腕が初回から飛ばした。「僕自身、投げている球はトンネルを抜けたかなと思う。あとはストライクゾーンに投げるだけ。全然悪くない」と手応えをつかんでのマウンド。茶髪だったヘアスタイルもこの日の登板に備え黒く染めてきた。

5回井上に死球で初めての走者を出したが、あわてず5番角中から清田、藤岡と3人で片付けた。チームとして負け越している苦手のロッテが相手。千賀もこの試合までに今季4試合で1勝1敗だった。「僕にとってもチームにとっても嫌な相手。そろそろいきたいなと思う」とやり返す闘志をみなぎらせてのマウンドだった。

5回には育成出身バッテリーで仲の良い甲斐が中前へ先制適時安打。甲斐は「追い込まれてしまったので何とか食らいついて打ちにいきました。千賀も良い投球をしているので先制出来てよかったです」と話した。6回にも相手のミスでさらに1点を追加。千賀は後半になるにつれ、さらにギアを上げていった。

これまでは故障で戦列を離れることが多かった千賀だが、今季は開幕ローテーションを守り続けた。工藤監督も試合前に「勝てない時もエースの自覚を持ってやってくれている。1つ1つの登板を大事にやってほしい」と変わらぬ信頼を口にしていた。エース千賀の復調でリーグV奪回をさらに加速させる。【石橋隆雄】