ソフトバンクが終盤の逆転でロッテを下し、2位西武との1ゲーム差を死守した。大勝負の時期を迎え、工藤公康監督(56)が執念采配を続け、劣勢を跳ね返した。7回には代打川島慶三内野手(35)が同点打。8回に決勝打を放ったのも代打の明石健志内野手(33)。投手も2点ビハインドだった7回から勝ちパターンの甲斐野を投入するなど、総力戦をものにした。

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工藤監督も思わず身を乗り出した。同点の8回2死一、三塁。代打明石の打球が右翼線に弾んだ。走者2人が生還する勝ち越し二塁打に、選手もベンチ前に飛び出て大はしゃぎ。采配ズバリの指揮官は「よく逆転してくれた。ナイスゲーム。みんなで勝ち取った勝利」とにこやかに振り返った。

明石は1日西武戦で右膝に自打球を当てて以降、打席に立っていなかったが、工藤監督は「バッティングの感じもいいと言っていた。どこかでいこうと思っていた」と迷わずに送り出した。明石も「練習でもいい打球が打てていたし、ボールの見え方はよかった。痛いけど、(自打球が)当たったから痛いのは当たり前。動けているんで大丈夫です」。ここ一番での起用に応え、胸を張った。

勝負どころの代打だけでなく、工藤監督は劣勢だった中盤から執念タクトを振っていた。2度のリードを追いつかれた先発武田を4回であきらめると、同点の5回から勝ちパターンの一角、高橋純を投入した。高橋純が勝ち越され、ビハインドになっても7回は甲斐野だ。まるでCS、日本シリーズのような継投が勢いを生んだ。

2点を追う7回の攻撃。松田宣のソロで1点差に詰めると、四球の今宮にすぐさま代走周東を送った。犠打で1死二塁とし、左腕松永に代わったところで代打川島をコール。川島の左前打で、二走の周東が快足を飛ばして間一髪で同点としていた。適材適所の起用がはまり、最後までベンチに残った野手は上林1人だけという総力戦だった。

1ゲーム差の2位西武も勝ち、自力では8度目(他力を含めると9度目)の挑戦でも優勝マジック点灯とはならなかった。工藤監督は「ぼくらはぼくらのゲームをやっていくしかない。目の前の試合をやっていくしかない」。悲願のVまで一心不乱に戦う。【山本大地】

◆ソフトバンクの最短M点灯は11日 M点灯には西武の●や△が条件になるため、最短M点灯は11日の直接対決まで延びた。ソフトバンクが9日○か△の場合は11日○でM11、△でM12、9日●の場合でも11日○でM12が出る。

▽ソフトバンク王球団会長(接戦を制して)「ライオンズが勝っていただけに大きいね。最後までこういう(接戦)もんだよ。ずっとね」

▽ソフトバンク武田(先発も4回73球、4失点で降板)「大事な場面で投げミスがこういう結果につながった。防げる失点はあったと思う」