リベンジを期した一戦で悪夢のような時間が続いた。阪神高橋遥人投手(23)が自己ワーストの1試合8失点を喫し、前回に続きプロ最短タイの4回で降板した。「こういう大事な試合で試合を壊してしまって、申し訳ないしかないです」。逆転CSへ勝利を重ねるしかない状況で、大敗に直結する大量失点だった。

初回、先頭広岡にいきなり右翼フェンス直撃の三塁打を浴びた。塩見を空振り三振に打ち取ったが、山田哲に左翼へ二塁打を許し先制点を献上。なおも1死二塁から4番バレンティンに、バックスクリーン右へ運ばれた。高橋遥はしばらくの間、ぼうぜんと見つめるしかなかった。

それだけでは終わらなかった。4回無死満塁のピンチを招くと中村の右犠飛で追加点。その後も自らの失策、連打と悪い流れは止まらない。この回打者一巡の攻撃を食らい一挙5点を失った。その間、ベンチの矢野監督は腕を組んだまま微動だにしなかった。「(リリーフ)温存とは思ってないけど。ここまで来ているから。(高橋遥にとって)全てがいい経験になるし。全てを含めてそうしました」。期待をかけたプロ2年目の左腕に“教育的続投”を課した。

前回6日広島戦で、高橋遥は4回6失点KO。ベンチ内で矢野監督からベースカバーを怠った点について「公開説教」を受け、涙を浮かべるシーンもあった。「やれることはもっとあった。この前の試合も期待して使っていただいて、任されていたのに、情けない、申し訳ないだけです」。悔しさを胸に上がったマウンドだったが、無念の早期降板となった。

3位広島が勝利しゲーム差は4・5差に。自力CS進出の可能性も再び消滅した。好投を続けていた左腕で痛い敗戦。「相手に自分の投球とかを覚えられて、1つの壁だと思う。それをどうするか、というところにぶち当たっていると思う。プロだから、やられたらやり返さないとあかん」と矢野監督。つらい夜を糧にするしかないが、今季残り試合が12しかないのも現実だ。【磯綾乃】