<巨人6-5阪神>◇15日◇東京ドーム

「まさかの1発」と言ったら失礼かもしれないが、1点を追うの8回2死一塁からのゲレーロの逆転2ランには驚かされた。1点ビハインドの6回1死満塁では空振り三振。1発を打つ直前は前打者の吉川大が送りバントを失敗。試合展開からも、そこまでの打席内容からも“期待薄”の雰囲気は漂っていた。しかし、ゲレーロの特性を細かく振り返ってみると、決して「まさか」ではなかった。

まず触れておきたいのが、今試合でのゲレーロの打席内容だ。本塁打前の3打席はそれぞれ違う投手から四球、遊ゴロ、三振で球数は計16。直球とフォークにはスイングしていたが、カットボール(2球)とスライダー(3球)はすべて見逃していた。変化球の比率が高くなる得点圏打率は、試合前時点で2割2分2厘。これだけでは根拠としてそれほど強くはないが「曲がり球」を打ちにいく確率は低い打者に分類できる。

本塁打の打席を振り返る。カーブが2球ボールになり、3球目のカーブを見逃してストライク。「そろそろ直球」は誰もが考える状況。打たれた直球の危険度は上がっていた。

状況別の打率(ともに試合前時点)を見ても、走者一塁での打率は3割2分6厘(43打数14安打)で2番目に高かった。カウント2-1での打率も2割8分6厘で3本塁打を放っている。打率2割3分台でも、このシチュエーションでは“3割級の打者”だった。

漠然と見ていれば「まさかの1発」と感じる本塁打だが、ゲレーロにとっての好条件は、しっかりそろっていた。「納得の1発」と表現を変えてもいいほどだった。【小島信行】