「次」につながる粘投だった。楽天先発の岸孝之投手(34)は4回に先制を許すも、強打の西武打線を7回途中まで2失点に抑えた。「よく粘れたんじゃないかなと思います。CSがかかっているし、西武も優勝がかかっていて気持ちが入っている中で、気持ちは負けないように投げました」と敗戦の中にも、納得の表情を見せた。

気持ちが入る理由がもう1つあった。東北学院大の後輩、西武先発の本田圭佑(26)と地元仙台で初対決。「(こんな機会は)そんなにないことですからね。アイツもいいピッチングしていたし」と特別な思いを秘めての投球だった。

今季は開幕戦で左太ももを痛め2カ月間戦列を離れた。7月には高熱で入院。2度の離脱が影響し、プロ12年目でワーストの3勝にとどまっただけに、CSで雪辱の思いは強いはずだ。9回には浅村が、古巣から今季10本目の本塁打を放ち意地を見せた。平石監督は「岸らしい投球をしてくれた。さすがですね。浅村も強い気持ちを持って常にやってくれている。頼りになります」と元西武の2人をたたえた。

残り2試合、CS争いは佳境だ。24日は今季最終戦のロッテが西武に勝ち、楽天がソフトバンクに負けた時点で望みが絶たれる。2連勝すれば、文句なしに進出が決まる。浅村は「いつも通り相手がどこであろうとしっかり勝てるように、切り替えていくしかない」と、平常心の必勝モードで臨む。【野上伸悟】