逆王手だ。ソフトバンクがクライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ第2戦で楽天に競り勝ち、対戦成績を1勝1敗とした。

楽天先発美馬対策としてスタメン起用された福田秀平外野手(30)が4回に決勝弾となる勝ち越しソロを放った。松田宣浩内野手を外し、柳田悠岐外野手を4番から3番に置いたオーダー変更が当たった勝利。7日の第3戦で勝つか引き分けで、ファイナルステージ進出が決まる。

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勝負をかけた布陣で逆襲への道は開かれた。2点差を追いつかれた直後の4回。先頭で打席に立ったのは福田だ。楽天美馬のフォークを仕留めた。右翼席中段へ豪快な勝ち越しソロ。決勝弾となった1発を「今年一番の当たり。変化球が多いのを頭に入れ、低めを捨ててゾーンを上げていた」と会心の笑みを浮かべた。

福田はこの日、6番右翼でスタメン出場。不動の三塁手松田宣を外してまで、福田の名を先発オーダーに記した工藤公康監督は「福田の本塁打が非常に大きかった。負けたら終わり。悔いがないようにと、僕なりに決断した」と振り返った。

今季、美馬には7試合対戦し1勝しかできず白星も3個献上していた。美馬は右打者を打率2割2分6厘に抑えているが、左打者は3割3厘と苦手にしているため、調子のいい左の福田を選択。柳田も4番から3番に上げた。前日に4打数無安打で美馬との通算対戦成績も70打数13安打、今季18打数2安打と苦手にしている松田宣をスタメンから外した。指揮官は試合前に「今日は我慢してくれ」と松田宣に説明。今季全試合出場していた不動の三塁手を外し、グラシアルを三塁に入れた。昨年のポストシーズンでも不振の松田宣を外し、下克上で日本一に輝いた。今季も工藤監督が短期決戦の鬼となった。

ヒーローとなった福田は「(松田宣さんの代わりで)正直、プレッシャーは感じていた」と話す。今季2度の離脱の原因となった左脇腹痛もケアを続け、痛みなく強いスイングができる準備をしてCSに臨んでいた。スーパーサブは出場機会を求め、今季取得した国内FA権の行使も選択肢のひとつとして持っている。観戦した後藤社長は「うちに必要な選手」と改めて残留を望んだ。

逆王手の勝利をつかみ、工藤監督はベンチに出迎えた孫オーナーと笑顔でがっちり握手を交わした。第3戦へ向け「明日は明日のベストを探す。みんなで全力で勝つ」と宣言。7日楽天先発の岸を崩すオーダーをひねり出す。【石橋隆雄】