魚沼市出身の韮沢雄也遊撃手(埼玉・花咲徳栄3年)が広島に4位指名された。 魚沼市出身では初のプロ野球選手誕生となった。「広島はクライマックスに出場する強いチーム。レギュラーをとれるように二遊間で勝負していきたい」。プロになるため故郷を離れ、追った夢が現実になった。開幕1軍へ、プロでの挑戦が幕を開ける。

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夢をつかんだ。校長室でドラフト会議のテレビ生中継を目を凝らしながら見つめていた韮沢は名前が呼ばれるとホッとしたような表情をみせた。息が詰まるような時間が流れていた。ヤクルト1位の奥川恭伸投手やロッテ1位の佐々木朗希投手などU18日本代表のチームメートが次々と指名されていく。「いつ呼ばれるのか、本当に緊張していました」と韮沢。指名後は「良かったです。本当に、良かった」と安心感が心の大部分を占めていた様子だった。 この日、初めての弾けた笑顔は会見後、チームメートの出迎えを受けた時だった。3年間、苦楽をともにした友から「おめでとう」の声と、万雷の拍手が沸き起こると笑顔を浮かべ、ドラフト指名を実感した。 子どものころから、この瞬間を夢見てきた。野球を始めた小1から魚沼の自宅から70キロ以上離れた新潟市内のチームに所属。練習には父・浩文さんの運転する車で通ったが「小4くらいまでは車酔いが激しく、着いたら吐いてしまうこともありました」と振り返る。 夢実現のため、高校はさらに遠くの埼玉へ。「花咲徳栄に来て、さらに成長できた。ここに来たことは正しかった」。中3での親元を離れた決断に胸を張る。 これまで遊撃手一筋で勝負してきた。広島は菊池涼介二塁手、田中広輔遊撃手のレギュラー陣のほか、昨年のドラフト1位小園海斗遊撃手など二遊間の層は厚い。だが「勝負をしたい。将来は日本を代表する選手になりたい」と宣言。さらなる夢の実現に向け、新たな挑戦が始まった。【山岸章利】

▽花咲徳栄・岩井隆監督(49)「(韮沢は)芯があり、我慢強さのある男。野球センスは非凡だが、その前に広島カープという球団で社会人としても成長してもらいたい」。