ヤマハ(東海・静岡)が、JR四国(四国・香川)を8-4で下し、初戦を突破した。

序盤に先発のエース近藤卓也投手(25)がつかまったが、打線が奮起。4-4で迎えた7回表1死三塁のチャンスで、2番河野拓郎内野手(28)が中前への決勝適時打を放った。ヤマハの日本選手権勝利は、優勝した16年大会決勝以来、3年ぶりとなった。

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7回、ヤマハの勝ち越しチャンス。すでにこの日2安打の河野は、打席内で冷静だった。直球狙いだったが、抜けた高めの変化球をとらえて中前へ。「バットの先でしたが、うまく対応できました」。緊張感高まる初戦で3安打の活躍。「試合前のミーティングで、積極的にいこうとなった。それを実践した結果です」と胸を張った。

昨年、チームは都市対抗と日本選手権のどちらも出場権を逃した。期する思いがあった河野は、9月の日本選手権東海地区予選で16打数7安打と活躍し、本大会の出場権獲得に貢献した。予選序盤は不調だったが、スイング時のバットの動きを水平になるよう修正したことで感覚をつかんだ。その好調さをこの試合でも発揮。3点を追う6回の攻撃では、1死から二塁打を放ち、チームの導火線に火を付けた。

入社1年目の14年冬、野球部全員でラグビートップリーグ・ヤマハ発動機の試合を観戦。それがきっかけでラグビーファンとなった河野は、開催中のワールドカップ(W杯)での日本代表の活躍に「ただただ、すごいと思った」と笑顔。26、27日の同準決勝も観戦し、「すごい試合でした。刺激になりました」。大男たちの真剣勝負を見て、アドレナリンが出た様子。「今日は、ラグビー効果で打てたのかもしれないですね」と声を弾ませた。

次戦も勝って8強入りすれば、3年ぶりの全国制覇に向けて期待も高まる。だが、河野は「優勝を狙うよりも、1試合ずつ勝つことを目指す。優勝した時もそうやって勝ち上がった」と冷静。栄光を知る男は、地に足をつけて31日の2回戦に臨む。【河合萌彦】